もともとゲイ雑誌の編集者であったマツコ・デラックスは、あるインタビューでこんな指摘をしている。
「今になって、ゲイでも何でも、物を買ってくれればよしとするのは、不景気が続いて、背に腹は代えられなくなったからではないか。そんな商売のやり方をしているから、日本企業は世界で勝てない」
「LGBTはしょせん仲間はずれ。(略)でも治外法権の世界で生きているからこそ、御輿を担がれてしまう存在でもある。(略)矢面に立たせるにはちょうどいいでしょう。ある意味では代弁者だし、ある意味では石を投げる相手にもなる」(東洋経済新報社「週刊東洋経済」12年7月14日号)
マツコが語っているのは、LGBTがマーケティングの名の下に都合よく使われてしまうのではないかという懸念だ。渋谷区に限らず、日本はあきらかにアメリカ型の新自由主義を後追いしており、その社会構造のなかでは、人権でさえも、金と天秤にかけられる。
マイノリティがこれまで認められなかった権利を獲得できることは非常に喜ばしいが、しかし、そこからも疎外され、取り残された人たちがいることをけっして忘れてはならないだろう。
(小杉みすず)
最終更新:2018.10.18 01:42