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上村達男・元NHK経営委員長代行インタビュー

元経営委員がNHK籾井会長の退陣を要求!「放送法に反しているのは籾井氏だ」

 つまり罷免動議を起こす「タイミング」を逸してしまったというわけだ。実際「籾井氏を罷免にしたところで次にまた同じような人間が来るのでは意味がない」というあきらめの声も多く聞く。何より、ずれたタイミングで罷免動議をかけて否決されてしまえば、「改めて信任を得た」とお墨付きを与えることにもなりかねないという怖れもあった。経営委員の中で明確に籾井氏の言動を批判してきた数少ないひとりである上村氏の任期満了退任で、籾井会長罷免の可能性はますます遠くなってしまうのだろうか。

 上村氏は2月末の経営委員会を最後に、経営委員を退任しているが、その委員会の後の記者懇談会で、個人的意見を問われて籾井氏を批判する発言をした。どうやらそれは会長の耳に入ったらしく、3月12日の経営委員会で籾井会長が、上村氏の後に委員長代行となった本田勝彦氏に「経営委員会後の記者ブリーフィングでの個人的意見は控えてほしい」と釘をさしていたことが3月末に公開された経営委員会の議事録に記されている。自らの放送法違反発言を「個人的意見」とうそぶいた件はすっかりお忘れのようで驚かされる。

「質問されたから答えたまで。そもそも、経営委員が記者に質問されて答えないほうが問題でしょう。経営委員は会長や役員を監視する側であって、だからこそ、国会の同意がなければ罷免されないという強い身分保障があります。それは発言の自由を保障するためです。籾井会長の本田氏への発言は、監視監督される者がする者に対して注文をつけるもの。言語道断のことと思いますね。この点でも放送法をご存じないと思います」

 理念上は経営委員のほうが立場が上とはいえ、会長のその言葉は立派な「内部圧力」となりうる。

「事務方に責任を押しつけたハイヤーの問題でもそうでしょう。過去に前例がないような経理処理を事務方がしたのなら、それはつまり籾井氏のすることに対して部下が何も言えない雰囲気があるということです。厳しい言い方ですが、籾井氏は理論的なやりとりができない人です。理解できないことは怒鳴り散らして全部まわりのせいにするか、作ってもらった文書を読み上げるくらいしかできない。放送法を守るということは、単に書いてある手続きを遵守するというような単純な話ではなく、公共放送としての独立を保つということにほかならない。独立とは、強いものに対して独立することに意味があり、弱い者に対して独立とは言わないのです。強い者とは、つまり政府です。政府に対して独立した立場を保つのが公共放送の理念。それを籾井氏はいまもまったく理解していない」

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