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上村達男・元NHK経営委員長代行インタビュー

元経営委員がNHK籾井会長の退陣を要求!「放送法に反しているのは籾井氏だ」

「舌鋒鋭くなどないですよ。私はガバナンスに関する法を専攻する者として自分の良心に従っただけです。籾井会長は、昨年の就任会見で『政府が右と言うものを左とは言えない』と発言し批判を受けましたが、それから1年たってもまだ、従軍慰安婦問題についての発言で『正式に政府のスタンスが見えないうちは慎重に報道する』という発言をしています。これは政権からの独立を旨とする放送法に反しています。籾井氏はそれらの発言を会長としての意見ではなく『個人的見解』と語っていますが、NHKの指名部会が定めた会長の資格要件のひとつには『NHKの公共放送としての使命を十分に理解している』とあります。どちらにしろ、放送法違反の意見を個人的意見とする人物が会長であることなどありえないのです」

 3月に内部告発によって明らかになった、籾井会長によるNHKハイヤー私的利用問題に関しても、国会で多くの議員が追求の姿勢を見せたが、NHK監査委員会の調査により、結局は秘書室の経理上のミスとして片付けられてしまった。NHK経営委員会のうち3名によって構成される監査委員会は、会長以下経営委員も含む役員の職務執行を監査し不正行為を調査する権限を放送法によって強く保障されている。にもかかわらず、今回の追及は非常に中途半端な形で終わり、監査委員としての正しい任務を遂行できているとは言いがたい結果となった。その現状を鑑みて、上村氏は、会長、役員の職務執行を厳しくチェックすべき立場である経営委員と監査委員のあり方について意見書を提出している。

 これだけ多くの問題を起こし続け、本来予算の内容を審議すべき国会で、ひたすら会長としての適格性を問われ続けるような人物が、なぜ、今年度も罷免されることなくNHKの会長の座に居座り続けるのだろうか。会長の任命・罷免権は、NHKの最高意思決定機関である経営委員会にあるはずだ。昨年の就任会見以来、ことあるごとに、NHKOBを中心とする「放送を語る会」ほか、多くの市民団体らが、経営委員会あてに籾井会長罷免を要求する文書を提出している。にもかかわらず、なぜ、経営委員会は籾井氏を罷免できないのか。

「昨年春の段階では、会長の問題発言や理事への白紙辞表の提出問題など、あまりに多くの問題が表面化し、経営委員の間でも非常に大きな問題として認識されていたと思います。あのときに罷免に関する採決をしたら必要な過半数は超えていたかもしれません。けれども、時間が経つにつれて、少しずつそういう声も小さくなっていってしまった。最初は非常に籾井氏に対して厳しかった人も、日常の業務で日々会長と接していくうちに、全体として扱い方に慣れてきてしまって、このままでも何とかしのいでいければという感じになってきているように思います。経営委員の中でも、罷免するべきと考える委員は少数派になってきたようです」

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