■山内マリコ、綿矢りさの結婚と柳美里の貧乏状態■
Z 女性の若手だと、窪美澄、柚木麻子、山内マリコ、彩瀬まるあたりが、女性書店員の人気が高いね。窪、山内、彩瀬はR−18文学賞の出身。
X 地方の女子の鬱屈を描いたデビュー作『ここは退屈迎えに来て』が、スマッシュヒットした山内マリコ。こじらせ系女子に人気の山内だけど、先日結婚を発表し、「an・an」でも結婚のこと語っているね。某評論家と不倫の噂もあったけど、本人は意外とこじらせ女子じゃなかったのかな。
Y 結婚といえば、綿矢りさも結婚を発表したね。年末の30日に発表って芸能人か!という感じだけど。しかも相手は、霞が関ではたらくキャリア官僚。綿矢もここ数年、こじらせ女子とか非リア充の小説をたくさん書いてたけど、本人は全然こじらせてなかったんだね。
X 出会ったのは4年半前くらいらしいけど、4年半前といえば、第3作『夢を与える』執筆以降のスランプ状態から抜け出した頃だよね。スランプの原因には失恋の影響もあったとインタビューで語っていたから、意外と恋愛に左右されるタイプだったんだね。今の夫と出会ってスランプ脱出以降は、執筆のペースもかなりあがっているし、作品の幅も広がっているし、小説の面でもいい相手なのかもしれないね。
Z 拠点にしていた京都から、すでに東京に越してきて結婚生活を始めてるらしいけど、「文學界」1月号に載ってる最新作「履歴のない女」はもろ新婚生活について書いていて、実体験ぽいなと思っていたらやっぱりという感じ。しかしこうしてみると、女性作家は男性より話題を提供してくれるね。
Y 女性作家はベテランもけっこう暴れてるしね。林真理子は「週刊文春」で百田尚樹をタブーにする週刊誌にかみついたり、文壇の和田アキ子みたいな存在になってるし。
X 元祖お騒がせ作家・柳美里への原稿料未払い騒動もあったね。月刊誌「創」が7年間に渡り、連載の原稿料を合計1142万8078円も支払っていなかったというもの。最終的には原稿用紙1枚4000円(「創」の最低稿料)×387.7枚の約150万で手打ちした。
Z 「創」に1千万円って……つぶれちゃうよ。でも、柳はホントお金がなくて大変みたいだね。あちこちに借金してるらしいし。
Y ていうか、さっきから何度も話してるけど、本が売れてないから、柳だけじゃなくてみんな苦しい。いまや食えてる作家のほうが珍しいくらい。
X で、そういう食えない作家から羨望の目で見られてるのが、さっきも話に出た佐渡島の作家エージェント・コルク。マンガ家では、『宇宙兄弟』の小山宙哉、安野モヨコ、作家では阿部和重、山崎ナオコーラ、伊坂幸太郎、平野啓一郎とか13名のクリエイターと契約しているようだけど、次から次へと新しいかたちの仕事をつくりだしている。先日は阿部和重と伊坂幸太郎のコラボ小説『キャプテンサンダーボルト』を出版したし。講談社からはうまくやりやがって、と嫉妬の目で見られているらしいけど。