その騒動とは、ジャニーズWESTのデビュー翌日に「週刊文春」(文藝春秋)が報じた、「藤井流星の性的暴力、未成年飲酒・喫煙」だ。「文春」に掲載された写真は、白の服を着た藤井がベッドで煙草を吸っているというもの。もちろんまったく同じ構図ではないが、写真集では他のメンバーが洗面所で歯磨きをしたり、着替えていたりとベッド以外の写真が使われているのに対し、わざわざ藤井がベッド写真を担当しているのが、「あてこすり」に思えなくもない。
これらの写真が偶然なのか計算なのか真偽は不明だが、タブーを自虐したように思えてしまうのは、関西ジャニーズならではのサービス精神や笑いへの情熱を感じるからだろう。同じジャニーズといえども、東京のジャニーズに感じる洗練されたカッコよさとは異なり、非常に親しみやすい関西のジャニーズ。その違いはどこから生まれるのだろうか。
もともと関西ジャニーズは、東京のジャニーズとは異なり、Jr.時代の活躍の場は圧倒的に少ない。東京のJr.が番組収録やコンサートにバックダンサーとして出演したり、アイドル誌にページを割いてもらったり、Jr.だけの公演に恵まれているのに対し、関西Jr.は先輩が関西方面に公演に来たときのみバックダンサーを務めることができる。いまでこそ関西Jr.が活躍できる番組が誕生したが、ごく最近までは圧倒的な露出の差があったのだ。関ジャニ∞が嵐と共演するたびに、扱いの違いを愚痴り、いまだに対抗心を燃やしているのはよく見かける風景だろう。
それが原因なのか、上下関係がゆるやかなのも関西ならでは。9月に放送された『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)では、関ジャニ∞の村上信五が「我々大阪で、自分たちだけでやってる時間が非常に長かったんですよ。だから東京に出て来たときにジャニーズのセオリーがわからなかった」とJr.時代は先輩がいなかったからこそ、のびのびと自由に活動できたことを語っていた(のびのびすぎて、先述の藤井級のスキャンダルがほかのメンバーにも……という噂もあるほど)。
また、関西特有の「お笑い」文化に触れていたことが、関西ジャニーズのサービス精神を育んだことは否めない。もともと関西のテレビ業界はローカル番組が多く、『モモコのOH!ソレ!み〜よ!』(関西テレビ、重岡大毅出演)、『ピーコ&兵動のピーチケパーチケ』(同、小瀧&中間出演)でハイヒールモモコや矢野・兵動の兵動大樹ら、ゴリゴリの関西芸人と共演し、自ずと腕が磨かれる。
露出の少なさ、上下関係のゆるやかな環境、お笑いへの傾倒……。それらが親しみやすい関西ジャニーズ特有の空気や個性を生み出し、東京のジャニーズとは違った魅力でファンを引き付けているのかもしれない。
来年2月4日にリリースされるジャニーズWEST 3枚目のシングルのタイトルは「ズンドコ パラダイス」。ネットではあまりにも奇抜なタイトルに失笑が漏れているが、ある意味これこそが関西ジャニーズの真骨頂ともいえる。関ジャニ∞につづく大ブレイクとなるだろうか。
(江崎理生)
最終更新:2018.10.25 12:34