村山は以前、再婚直後のインタビューで夫、そして自らの性についてこう語っている。
「性は、私のなかでとても大きなものでした(略)私はまだ極めていない、知らずに死ねるか」
「私、たぶん、殺されても死なないくらい生命力が強いと思います。それくらい性欲が強いのです(笑)。」(「婦人公論」09年2月22日号)
その上でそして2番目の夫との“性”に関しても同インタビューでこう語っていた。
「身体だけでなく気持ちまで達してしまうセックスを経験してしまうと、それに勝るものはないというのが実感です。満たされてますよ。でも、もっと上があるかもしれないし、フフフ」
しかし2度の結婚生活も、村山が当初思い描いていた理想とは違っていた。そしてセックスレス──。日常生活の中、夫は村山を「女にしておいて」くれなかったのだ。
しかし作家としての村山に、今後の心配はないだろう。最初の離婚で新境地である「ダブル・ファンタジー」を発表し、母親が認知症になり、母親からの呪縛が解けたことで初めてその実像を「放蕩記」に描く。
村山は自らが抱える性やドグマ、体験を肥やしに、実生活に近い作品を赤裸々に描き上げる数少ない作家だ。抑圧から解放された時、その真価をどう発揮するのか。
「東京での仕事が増えて不在がちになった私に対して、(夫は)何らかの疑いはもっていたと思います」
新たな相手を予感させる意味深なことを語った村山。2度の離婚を経験した今後の新境地に期待したい。
(林グンマ)
最終更新:2016.08.05 06:56