『オヤジかるた 女子から贈る、飴と鞭。』(文藝春秋)
視聴率は振るわないものの、熱狂的なファンを生み出しているテレビドラマ『ファーストクラス』(フジテレビ系)。このドラマで一躍流行語となったのが、「マウンティング女子」だ。仲間内でどちらが上かを格付けしあう女子たちの生態を言い表した言葉で、名付け親はマンガ『臨死!!江古田ちゃん』などで知られる瀧波ユカリ氏である。
そんな瀧波氏が次なるターゲット(!?)に選んだのは、なんと中年男性。新著『オヤジかるた 女子から贈る、飴と鞭。』(文藝春秋)では、中年男性を愛を込めて“オヤジ様”と呼ぶ瀧波氏が、おじさんたちの間違った言動をさまざまな観点からチェック。なかでも手厳しいのは、モテたいオヤジ様たちの勘違った口説き方についてだ。今回は、おじさん自身が気付いていないであろう口説きの失敗ポイントを、本書から紹介していこう。
第一は「急いてはコトをし損じる!」という点。瀧波氏が遭遇した、“急いてしまった”オヤジ様の例は、こうだ。
そのオヤジ様は、大柄・ごま塩頭にメガネという出で立ちの大手出版社勤務の50代。食事の席としてオヤジ様が選んだのは、「上品すぎず普通すぎない」タイ料理店。ふたりはカウンター席に座り、「本や映画などの文化的な話で意気投合」したという。お店のチョイスといい、会話の内容といい、オヤジ様には“がっつき”感がない。ここまでは瀧波氏も「そうそう、こういうのがいい」と好感を抱いていた。
にもかかわらず、不幸が訪れたのは会食開始から1時間半ほど経ったころ。トイレに立った瀧波氏が席に戻ってくると、オヤジ様は目つきを変え、彼女の手をさわさわとなではじめた。そして、ひと言。「ねえ……今夜、いい?」。──もちろん、瀧波氏は「その後、私が彼をかわして逃げ帰り一切の連絡を絶ったのは言うまでもありません」。人生経験は豊富なはずなのに、なぜか色恋沙汰となるとせっかちになってしまうのが、おじさんという生き物。若者でさえ“デート3回でキス”と慎重なのに、デート1時間半で肉体を要求するなどオラオラが過ぎるというもの。せめて「ディナー十回ぶんは気を急かすことなくお願いしたいところです」(瀧波氏)ということらしい。
また、おじさんの勘違いしがちなのが、「妻とは不仲」と言う台詞。「独身の女子に不倫ハードルを越えさせるため」に不仲アピールをしているのかもしれないが、じつはこれが逆効果。瀧波氏に言わせれば、「奥さんとうまくいってないなら、付き合ってもいいかな」などと女子は思わない。「女子は家庭内にゴタゴタを抱えている人よりも、愛の才能に長けている人に惚れられたいもの」なのだそうだ。とくに、「奥様とはうまくいってますか?」と女子に聞かれて、「いってないよ〜」と嬉しそうに答えるおじさんは多いらしいので、ご注意を。