ASKAセルフカヴァーアルバム『12』(ユニバーサル・シグマ)
ASKA(本名・宮崎重明)と共に覚せい剤使用で逮捕された愛人の栩内香澄美被告の裁判報道がどうもおかしい。
覚せい剤使用を早々と認めたASKAに対し、栩内被告は逮捕直後から一貫して容疑を否認、裁判でも無罪を主張している。しかしこの国のマスコミは、逮捕直後から「ASKAが長年覚せい剤をやっていたのだから栩内被告も同じ」という論調で、既に有罪と決めつける報道を繰り返し行っているのだ。
尿検査と毛髪鑑定で陽性反応が出たことも彼らの論調を後押ししている。尿検査で陽性になったことに対して栩内側は逮捕当日、2人がセックスした際、「宮崎さん(ASKA)の精液が混入した」と証言したが、検察側証人の科学捜査研究所検査員が「陽性反応になるためには、少なくとも370回分の射精が必要」と反論。すると、マスコミはそのことを嬉々として伝え、「栩内被告の主張が崩れた」と断じた。だが、覚せい剤に詳しい専門家はこう語る。
「たしかに覚せい剤をやっている相手が普通に射精をしただけでは、尿検査で陽性になることはないが、その相手が陰茎に覚せい剤成分を塗っていれば、陽性になる可能性は高い」
毛髪についても同様だ。毛髪鑑定は2回行われており、1度目は覚せい剤反応が陽性だったが、2度目は陰性だった。そのため、栩内被告は逮捕当日、セックスの際に汗かきのASKAの汗が付着した可能性を主張したが、科捜査研の別の担当係官が出廷。「髪の毛は何度も洗浄してから鑑定した。汗が付着したために陽性になったなどありえない」と反論した。
また2回の鑑定結果が分かれたことについても、係官は同時期に採取した毛髪を分割しているため「覚醒剤成分が含まれる試料が散逸して、得られる薬物濃度が変わることもある」とした。
ワイドショーやマスコミもこれを受けて専門家たちに同様のコメントをさせた。「検査の前に洗浄しないなんてありえない」「1回でも陽性反応が出ればクロ」。
しかし、だとしたらなぜわざわざ2回の検査をしたのか。通常、こういう検査を2回やることはほとんどない。しかも、栩内被告の弁護士によれば、2回目の鑑定をすることを申し出たのは弁護側でなく警察側だったという。「1回でも陽性反応が出ればクロ」なら、すでに1回目で陽性反応が出ているわけだから、2回目は必要がない。それをわざわざやったというのは、何かミスがあったのではないか。
鑑定を行った係官は「毛髪は何度も洗浄してから鑑定にかけた」というが、誰かが客観的にそれを証明しているわけではない。