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『進撃の巨人』はなぜ人間を食べ、吐くのか? 作者・諫山創が明かす

『進撃の巨人』(諫山創/講談社)

 コミックの累計発行部数は3600万部を超え、今年の11月にアニメ映画、2015年には実写映画の公開を控えるなど、マンガの枠を超えて大ブレイクしている『進撃の巨人』(諫山創/講談社)。

 さらに11月末からは上野の森美術館で「進撃の巨人展」も開催されるのだが、その「巨人展」のデジタルサイネージ広告が物議を醸している。

 広告は巨人が人類を食しているシーンなのだが、グロテスクなためか人間の部分をハンバーガーやピザの画像で隠すという画像処理が施されている。あまりに雑すぎるコラ画像に加え、広告上部には大きな文字で「自主規制中」と書かれ「一部過激な描写に修正を加えています。無修正の画像は、上野の森の美術館でご覧いただけます。」との但し書きもあり、逆手にとったギャグなのだろう。ただ「自主規制するくらいなら、リヴァイ兵長とかほかの部分を見せればいいのに」という声も一部あった。
 
 たしかに、そのファンタジーとシリアスが同居した独特な世界観、リヴァイ兵長をはじめとする人気キャラ、さまざまな魅力をもつ『進撃の巨人』だが、やはりこの作品の最大の根幹は「突如現れ、人間を食らうた正体不明の巨人たち」という不条理な謎だろう。

 そもそも巨人たちはなぜ人間を食べ、そして吐くのだろうか。同作最大の謎について作者の諫山創が明かしているのを発見した。『まんがキッチンおかわり』(福田里香/太田出版)に収録された料理研究家・福田里香との対談でのことだ。

 福田は料理研究家でマンガにも造詣が深く、マンガなどで登場人物の性格や感情、置かれた状況が食べものを通して伝達される現象を「フード理論」と呼び、独自の作品解釈を提唱していることでも知られる。

 諌山によると、この福田の「フード理論」が『進撃の巨人』に大きな影響を与えているのだという。たとえば、まず大前提として、1善人はフードをおいしそうに食べる、2正体不明者はフードを食べない、3悪人はフードを粗末に扱う、という「フード理論三原則」。

 この三原則を『進撃の巨人』に当てはめれば、巨人はフード(=人間)を粗末に扱う悪人であり、「吐く」という点ではフードを食べない正体不明者でもあるということになる。たしかに当てはまっているように思える。諌山はこのフード理論を2009年ごろラジオで聞き『進撃の巨人』の設定の参考にしたそうだ。
 
 フード理論、食を題材にしたマンガというと、ふつうは「おいしさ」や「食べるよろこび」などを連想すると思うが、当然ながら、『進撃の巨人』における“食”は、そうしたものとはまったくちがう。 

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