小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

スターリンのパラノイア、ケネディの異常性欲…歴史の裏に“病”あり!

 ところで、ヒトラーは猜疑心が非常に強かったことで知られるが、それはソ連の第2代最高指導者であるヨシフ・スターリンも同様だ。彼は同時に高血圧症でもあったのだが、この恐ろしき独裁者を「パラノイア」と診断した精神科医がいた。この精神科医はその直後に“謎の死”を遂げたという。スターリンは医師への不信感も相当であったようだ。この精神科医だけでなく、多くの医師が逮捕、粛清されていった。独裁者を診る医師はまさに命がけ。中国の毛沢東の場合も、「パラノイアで漁色家」と暴露本を出版した元待医が、息子の家のバスルームで“不審な死”を迎えている。

 興味深いのは英国の“農夫王”ジョージ3世。ビクトリア女王の祖父であり、名君として名高い人物だが、実は突如凶暴になる大発作を何度も起こしていた。

「二晩も三晩も眠らずに絶え間なくしゃべり続けて興奮し、錯乱し、痙攣発作を来し」たという。診断は “狂乱ないしは発狂 ”。だが後世の研究によって遺伝性の「ポルフィリア」という神経系疾患だと考えられるようになっている。

 より歴史を遡ろう。古代エジプトのツタンカーメンもまた、身体のトラブルを抱えていた。19歳で早世したイケメン少年王だが、最近のCT検査の結果、高口蓋など口腔の天井部分の異常や左足の内反足のため、若くして杖が必要な少年だったことが明らかになっている。さらに暗殺説まで取り沙汰される死因について、落馬などの外傷による骨折からの感染症だと考えられているという。

 さらに科学の進歩は意外な事実まで発掘した。ツタンカーメンは父親とその同腹の姉妹の子どもであり、当時の濃厚な近親結婚さえも浮き彫りにしたのである。

「歴史の陰に病あり」──。歴史上の人物たちの “病 ”に関するエピソードは、史実とも深く結びついている。歴史を語るとき、われわれはしばしば“もしも”という言葉を使うが、それを現代医学の観点から見るという試みも面白いだろう。

 さて、話を現代に戻して、はたして時の権力者はどうだろうか。後の世が“診断”したとき、“あのときすでに手遅れだった”と言われなければよいが……。
(林グンマ)

最終更新:2018.10.18 05:14

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。