だが、本書のテーマはこうした体験の話ではない。谷村いわく「私がプレアデス星団から送られたメッセージをもとに、図書館にこもったり各分野の専門家たちの話を聞いたりしながら勉強したものをまとめた「不思議すぎる」話」なのだ。
その中身は、まさに人智を越えた境地である。たとえば、千円札の裏に描かれた絵が富士山ではなくユダヤ教の象徴ともいうべきシナイ山ではないかという説を唱え、日本とユダヤ人が同じ祖先を持つという「日ユ同祖論」に話を展開。他方、中国の史書ではローマ帝国を太秦と書くことなどから「京都の太秦映画村は古代イスラエルにゆかりの土地だった」といい、さらにはユダヤ人のシンボルである六芒星と似たデザインの「籠目門」が、伊勢神宮の石灯籠に刻まれていることの意味を探るのである。……話が壮大かつアクロバティックすぎて、読者は付いていくことで精一杯だ。ただ、ずいぶんいろんな勉強(ただし「ムー」方面の)をしたのだなということだけはしっかり伝わるはずである。
ちなみに谷村は、プレアデス星団に「昴」の楽曲が降って湧いてきたことを「あなた方の導きなのですか?」と尋ねたことがある。その答えは、「あの曲は、あなたが書いた曲でしょ」だったという。
期待を裏切る真っ当な答え! このプレアデス星団のマジレスには少々拍子抜けしてしまうが、もはやこんなことくらいで怯む谷村ではない。
「どうやら彼らは「あの曲を書いたあなたには、世界の悩める人びとに新しい考え方や視点を持つための気づきを与えるきっかけ作りをする使命がありますよ」と励ましてくれているらしいのです」
で、その「昴」の隠されたメッセージというのは、こういうものだ。
「目に見えるモノだけに縛られる物質的な生き方に別れを告げ、目に見えないモノを大事にする精神的に豊かな生活を選ぼう」
──カラオケで誰かが「昴」を熱唱し始めたら、ぜひこのメッセージをあなたも受信してみてほしい。
(サニーうどん)
最終更新:2018.10.18 04:07