小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

復活したマスコミの電力会社タブー! 朝日の関電裏金報道も黙殺

『原発広告』(亜紀書房)

 電力会社が、歴代首相に毎年2000万円もの裏金を手渡していた――朝日新聞が7月28日朝刊の一面で報じたこのニュースは非常に衝撃的なものだった。証言したのは元関西電力副社長の内藤千百里氏。元関電社長・芦原義重氏とともに1972年からの18年間、盆と年の瀬の2回、首相の事務所や私邸へ出向いて“政治献金”を直接渡していたという。

 内藤氏の語り口は生々しく、「(当時首相の)三木さんは事務所で私のひざを触りながら『足りない』と言ってきたことがあった」など、時代劇の悪代官さながらの逸話の数々は強烈だ。田中角栄や中曽根康弘ほか、少なくとも在任中の首相7名がこの“政界工作”に応じたという。原子力利権に群がる勢力、いわゆる“原子力ムラ”の一幕が、当事者の口から暴露されたのだ。

 しかし、この朝日のスクープを後追いするメディアは皆無。他の大手新聞各社はもちろん、テレビや週刊誌、大手ネットニュースなどもスルーというのが現状である。

 さらに7月31日には、検察審査会が、元東電会長・勝俣恒久氏ら元幹部3名を、福島第一原発事故の責任的立場から「起訴相当」と判断したが、このニュースも翌8月1日の各社朝刊で大きく取り上げたのは、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞のみ。読売新聞は社会面で小さく報道記事を掲載しただけだったし、産経新聞にいたっては社会面で「新証拠なし?再捜査困難」と火消しをするような記事を報道する有様だった。テレビも、NHK、テレビ朝日、TBSなどがストレートニュースとして取り上げだけで、特集した番組はほとんどなかった。

 原発事故が発生した2011年には“袋だたき”と形容されるまでに盛況を見せていた電力会社関連の報道・検証記事。それがここ最近、明らかに下火になっている。いまだ事故の責任問題に決着はついておらず、“原子力ムラ”のすべてが明らかになったわけでないにもかかわらずだ。

「メディアと電力会社の関係は完全に元に戻ってしまった。3・11直後は、一時的に電力会社批判が解禁になっていましたが、今は再び、メディアは電力会社にさからえなくなっている」

 こう話すのは、電力会社とメディアの癒着をウォッチしてきた元「噂の真相」副編集長の川端幹人だ。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。