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サザエさんはビッチ? マンガのキャラを性格診断にあてはめると…

 どうだろう。星一徹や峰不二子、スナフキン、名探偵コナンタイプなどの性格分析はなるほど、という感じだが、一方で、いじめっこのジャイアンが「正義感の強いリーダー」、毎週、怪獣を殺戮しているウルトラマンが「平和主義者」になっているのは、ちょっと首をかしげたくなる。しかし、本書によれば、ジャイアンは問題児と見られがちだが、本心を表現することができないだけで、悪を憎み、人の尊厳を守りたいと思う気持ちは人一倍強いらしい。ウルトラマンもいきなりスペシウム光線を相手に浴びせたりせずに、怪獣をいさめるように戦っているところが平和主義者なのだとか。

 納得できるようなできないような微妙な感じだが、それはともかく、本書では、この分類されたタイプ別に詳細な行動パターンを割り出して、かなり具体的なアドバイスもしてくれている。

 たとえば、完璧主義者の星一徹タイプは、細かく口うるさい人が多く「すべての情報に対して自分が明確に把握しておきたい」ので、部下は「私の成果を見てください」とアピールするよりも正確な情報をまとめて報告しておくといいそうだ。平和主義者のウルトラマンタイプは、包容力はあるが、部下が自分で考えて動く様子をいつまでも見守る。声に出して助けを求めない限り手を貸してはくれないので、対処できないときは自分から助けを求めたほうがいいのだという。たしかに、ウルトラマンはかなりいろんなものが破壊されないとやってこないから、ウルトラ警備隊はもう少し早めに助けを求めるべきかもしれない。

 ストレスに晒されたときの行動パターンも解説されている。名探偵コナンタイプは、普段猛烈に頭を回転させているので、ストレスによって身心のバランスが崩れると「刹那的な快楽を求める」そう。セクハラや女装趣味、SM、女性なら売春に走る可能性も。サポーターのマスオさんタイプは、常に不安感を抱えているので、ストレスを感じると「親戚に医者がいる」「近所に東大出身者がいる」などと、他者の自慢話をするようになるのだとか。

恋愛では、博愛主義者のドラえもんタイプは常に献身的に尽くしたいと思うし、一度好きな人ができると「その人の色に染まろう」と努力するらしい。ロマンチストなスナフキンタイプは、だめんずや幸の薄そうな異性に惹かれる傾向があるという。そして、情熱的で、楽しく刺激的な付き合いを望む楽天家のサザエさんタイプは、目の前の快楽に溺れやすく、次々と交際相手を替えていくこともあるだとか。それってようするに、ビッチってことじゃ……。

 しかし、こうして性格分析を読んでいると、自分がどういうタイプかより、そのキャラたちも実は裏で本書に書かれているような別人格をもっているんじゃないかということに興味がわいてくる。女装趣味に走るコナンに、親戚自慢をするマスオさん、そしてビッチのサザエさん……。

 通常、こうした性格分析はいきづまったときの自己慰撫や自己啓発のために読むものだが、この本にかぎってはエンタテインメントとして楽しんで、ひたすら妄想を膨らませる読み方もありかもしれない。
(田口いなす)

最終更新:2018.10.18 04:56

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