吉村知事「カジノの面積はたったの3%」はごまかし! 収益の8割はカジノを想定
つまり、選挙戦や報道では「1兆1400億円の経済波及効果」と喧伝されたものの、この数字の根幹をなすIRの売上高や来場者数は、事業者による「言い値」に過ぎず、根拠不明のシロモノなのだ。
さらに、カジノ解禁がギャンブル依存症の患者をさらに増やすという懸念は強いが、そうした懸念を払拭するため、吉村知事は選挙中、「IR全体のうちカジノの面積はたったの3%」などと主張。しかし、これもとんだゴマカシだ。
というのも、カジノの面積は全体の3%でも、IR収益の8割はカジノによるものを想定しているからだ。その上、「ダイヤモンド・オンライン」2022年8月26日付の記事では、〈カジノそのものの粗利である4900億円のうち、国内客は2700億円、海外客が2200億円と国内客が上回る。カジノでもうける金額の過半が、「日本人のスッたカネ」だというわけだ〉という指摘がなされている。ようするに、「カジノの面積はたったの3%」などというのはたんなるゴマカシで、実態は大半を国内客からの金で収益を上げようと考えているのである。
だが、この選挙戦において吉村知事がおこなったもっとも酷いゴマカシは、カジノ用地の賃料をめぐる問題についてだ。
本サイトで取り上げてきたように、大阪のIR構想では大阪市が所有する用地約49万平方メートルを、カジノ事業者に対し、約35年間にわたって年約25億円で貸す計画になっている。これは1平方メートルあたり月額428円というべらぼうな安さなのだが、摩訶不思議なことに、賃料の根拠となった4社による不動産鑑定では、4社中3社で土地価格などの金額がぴったりと一致。さらに、鑑定時にはIRが「考慮外」にされていたことから、賃料が異常に安く叩き出されてしまったのだ。この結果、35年間で500億円以上も賃料が大幅に値引きされることになったと見られている。
しかも、松井一郎・前大阪市長は「IRを考慮外」としたのは鑑定業者側から意見が出たためだと説明していたにもかかわらず、実際には「大阪市の指示」によるものだったことが情報公開請求で開示された公文書によって判明したのである(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2023/03/post-6268.html)。