“日の丸ボーイ”“ミスター右翼”と呼ばれる山口4区の自民候補
そもそも、安倍元首相の後継については、安倍元首相の母・洋子氏が「後継者は孫がいい」と語ったとも伝えられており、信千世氏や安倍元首相の兄・寛信氏の長男、信夫氏の次男の名が取り沙汰されてきた。ところが信千世氏が2区からの出馬を決め、他の孫たちも政治家になることを固辞。そんななかで安倍元首相の妻・昭恵氏が白羽の矢を立てたのが、地元の下関市議の吉田氏だった。
吉田氏は関西大学卒業後に自民党所属(後に維新に移籍)の大阪府議の秘書となったというが、「デイリー新潮」の記事によると、秘書時代に安倍派の地元町議だった伯母の縁で安倍氏に気に入られ、2011年に下関市議会選に出馬した際も“事実上、安倍事務所が擁立した形”だったという。
実際、本人のブログを確認すると、頻繁に安倍氏や昭恵氏との交流をアピール。2015年と2019年の「桜を見る会」にも参加し、前夜祭では家族で安倍夫妻と仲良く写真を撮影。こうした吉田氏のブログ記事が、前夜祭問題についての国会追及の端緒のひとつにもなった。また、吉田氏と妻が知り合ったのも〈安倍晋三後援会青年部「同志会」の豊北支部で懇親会」を行った時〉だったといい、結婚式には昭恵氏が出席し、安倍氏もビデオメッセージで祝福。〈まさに、安倍先生のおかげで出会うことができました〉と振り返っている。
しかも、この吉田氏、たんに安倍元首相に気に入られていたというだけでなく、その「極右思想」まで完全に引き継いでいた。吉田氏の評判について、「デイリー新潮」はこのような地元の声を伝えている。
「思想的には安倍さんより右ですね」
「市議になってすぐに、市議会議場で国旗掲揚しようと提案したこともありました。もちろん否決されましたが、それ以来、彼は“日の丸ボーイ”とか“ミスター右翼”と呼ばれていました」
「日の丸ボーイ」に「ミスター右翼」……もはや嫌な予感しかしないが、吉田氏のブログやツイートを見ると、その評判もうなずける記述にあふれていた。
たとえば、吉田氏は安倍氏とのエピソードについて触れたブログ記事において、こんなことを綴っている。
〈私が議員になりたての頃、下関市の中学校の歴史教科書採択の時の話。本市では以前から、自虐史観に基づいた記述の多い、自国に誇りの持てない教科書を使っていました。(中略)私が教科書問題についていろいろと勉強をしているということをご存じであったため、地域の方々と一緒に上京して安倍先生にお会いした際に「下関の教科書も教育も、吉田さんのおかげでこれからどんどんよくなっていきますよ」と皆さんの前で言って下さいました。〉