どの口が? 経済制裁破りでロシア支援画策した張本人・安倍元首相が「国際社会はクリミア併合を黙認」と棚上げ批判
しかし、もっとも絶句したのは、米ロサンゼルス・タイムズや仏ル・モンドに掲載された、安倍元首相の寄稿だ。寄稿のなかで安倍元首相は、なんとこんな主張をおこなったのである。
〈ロシアがクリミアを併合したとき、ロシアがウクライナの主権を侵害したにもかかわらず、国際社会は最終的にこれを黙認した〉
よくもまあ、いけしゃあしゃあと言えたものだ。というのも、クリミア危機の際、当時の安倍首相こそがプーチンの蛮行を黙認し、そればかりか侵略政策を後押しするような行動に出ていた張本人だからだ。
ロシアは2014年2月以降、ウクライナ南部のクリミア半島を一方的に編入し、国際社会が厳しい非難の声をあげたが、かたや当時の安倍首相は同年秋に予定されていたプーチン訪日に影響を与えることを懸念し、発動させた経済制裁はアメリカやEUにくらべると大甘な内容に。しかも、西側諸国から経済制裁を受けてロシア経済は悪化し、制裁対象となっていたプーチンに近い国営石油会社「ロスネフチ」は経営難に陥っていたのだが、なんと、日本政府は西側の経済制裁を破り、国民の年金積立金を使ってロスネフチを支援しようと画策。安倍首相がぶちあげた北方領土の返還交渉を進展させるため、間接的にでも経済制裁に反する可能性のある企業の株を政府系機関に購入させようとしていたのである(詳しくは過去記事参照→https://lite-ra.com/2022/03/post-6168.html)。
結果としてロスネフチの株購入は頓挫したものの、安倍首相はロシアのクリミア侵略に対して厳しく制裁を加えるどころか、西側の制裁で打撃を受けたプーチンに近い国営企業を助けようとさえしていたのだ。
それだけではない。クリミア侵略後である2016年のプーチン訪日では、安倍首相は地元・山口の高級旅館に招待して大々的に歓待。ロシアとの共同経済活動という名目で約3000億円の投入を約束したが、返還交渉はまったく進展せず、むしろ後退する有様。2019年には前述したように「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」などと公然とポエムを披露したが、安倍外交はプーチンの言いなりになって金だけ貢ぎ、国際社会に恥を晒しただけという最悪の結果に終わったのである。
このように、プーチンの蛮行に対してアシストさえしようとし、増長させてきた当人が、クリミア併合について「ロシアがウクライナの主権を侵害したのに国際社会は黙認した」などと主張するとは、盗人猛々しいにもほどがある。
しかも、安倍元首相はウクライナ侵略を口実にして憲法改正や核兵器共有論、次世代原発の新設など火事場泥棒の主張を繰り広げている。ロシアの入国禁止リストに名前がなかったことから、「安倍氏がプーチンに直接会ってウクライナ侵略をやめるよう説得しろ」という声が再びあがっているが、説得など、ただの“プーチンの犬”にできるはずもない。むしろ、この期に及んでもウクライナ侵略を改憲に利用しようという欲望を隠そうともしないその態度こそ、徹底批判されるべきだろう。
(編集部)
最終更新:2022.05.06 03:31