自分PRの直筆メッセージ同封するために医療従事者への応援金配布を「QUOカード」に!
しかし、現金ではなくQUOカードになった理由は、それだけではなかった。毎日新聞の今年5月8日付記事によると、府内の30代女性会社員が情報公開請求で入手した資料には〈「迅速な給付」や「事務負担」と並んで「感謝メッセージ力」というキーワードが決定打として記されている〉というからだ。
この女性は「note」でこの資料を公開しているが、支援金の贈呈方法を比較・検討した際の資料には、「現金」は〈感謝メッセージ力は小さい〉とし、一方、「金券(QUO等)」は〈メッセージカード同封により、効果大〉と書かれていた。つまり、現金ではなくQUOカードにしたのは、「早く処理できる」だけではなく、吉村知事の成果をPRする例のメッセージカードを同封できるかどうかも決定打になっていたのである。
支給される側の使い勝手よりも「自分アピール」を優先する。そんな愚策を打った当事者が、よくもまあ5万円クーポン問題で「完全な愚策だ」などと言えたものだ。
だが、こうした「ブーメラン発言」は吉村知事にかぎったものではない。たとえば松井一郎・大阪市長も、日本共産党の志位和夫委員長の在任期間の長さを問題にしてきたが、維新は結党以来、代表選を一度もおこなっておらず、先日も松井氏の再選を決めたばかり。
いや、もっと言えば、松井市長や吉村知事、さらには維新の生みの親である橋下徹も「身を切る改革」を掲げ、“まずは自ら率先して国会議員の既得権益を改革する”ことを強調してきたが、「政党にとって最大の既得権益」「税金の無駄遣い」とも言われ、全国民1人あたり年250円、年間約300億円という文通費以上の税金が投じられている政党交付金については問題視せず。さらに、2020年の政治資金収支報告書によると、維新の収入総額約23億円のうち8割が政党交付金となっており、政党のなかでもっとも政党交付金=税金頼りであることが判明した。つまり、政党本体の存在理由自体にブーメランが刺さっているのだ。
だが、維新や吉村知事、松井市長らの強みは、こうして数々のブーメランが刺さっても図太く平然とし、自分たちのことは棚に上げて他党を攻撃することでメディアにネタを与え、大衆の歓心を買ってきたことだ。そして、この厚かましいにもほどがある恥知らず集団がいまや勢いを増し、実際には政権与党と対決する姿勢など微塵もないというのに反自民の受け皿になりつつある。反吐が出るとはこのことだろう。
(編集部)
最終更新:2021.12.03 10:01