女性秘書書類送検、高須HDで作業発覚も報道しないテレビ、検察も不可解な動き
この間のこうした言動を見ているだけでも、高須氏には、ほんとうに不正署名が行われたことを知らなかったのか、という疑問がわいてくる。
しかも、ここにきて浮上した高須ホールディングスの組織ぐるみの署名偽造関与と、高須氏の秘書が署名偽造について高須氏の指示や許可のもとに動いていると語っていたとする、事務局関係者の供述調書──。知っていたどころか、それ以上の積極的な関与も疑われる。
もっとも、こうした事実を報じているのは一部のメディアだけで、多くの新聞・テレビはあいかわらず、高須氏を追及することに消極的だ。しかも、いまの警察や検察の動きを見ていると、捜査でも高須氏の関与が有無や金の流れがあきらかになるかどうかは微妙だ。
というのも、高須氏に対する聴取が行われていないようだからだ。朝日新聞によると、先行して審理が始まっている署名偽造バイトを集めた広告関連会社の元社長の初公判で、検察側は先月、関係者の供述調書など180件を超える証拠の要旨を説明したのだが、そこに高須氏の調書はなかったという。高須氏本人も聴取は受けていないとしている。
リコール運動で高須氏の果たした役割を考えるとこれは非常に不可解だ。たとえば、団体の収支報告によると、高須氏は1200万円を運動団体に貸し付け、さらに150万円を寄付。これは団体の全収入の5分の1に当たるもので、高須マネーが署名偽造の原資となった可能性も指摘されている。
また前述したように、高須氏の秘書が「これ(指印)に行ってくると(高須氏に)言ってある」「(高須氏も)『それは行ってやらないと』と言った」と話したという事務局女性スタッフの供述調書は証拠提出されているという。
にもかかわらず、なぜ高須氏に対して聴取すらなされていないのか。不可解としか言いようがない。このままでは「民主主義の破壊行為」「戦後政治史上最大の汚点」ともいわれるリコール不正事件の全容が解明されない恐れがある。刑事責任の有無にかかわらず、このリコール不正をめぐる高須氏の責任は非常に重い。安倍元首相のように「責任をとる」とお題目のように唱えるだけでなく、一刻も早く説明責任を果たしてもらいたい。
(編集部)
最終更新:2021.11.19 11:36