会費月10万円で、麻生太郎、菅義偉、加藤勝信、小泉進次郎らの秘密勉強会を開いていた志友会という団体
「しんぶん赤旗 日曜版」は今年3月、自民党所属の薗浦健太郎・衆院議員が安倍晋三・元首相の首相補佐官を務めていた2019年4月3日に、東京都内で「そのうら健太郎と未来を語る会」と題した政治資金パーティを開催しながら、関連政治団体の政治資金収支報告書には当該パーティの開催や収支にかんする記載がない「闇パーティ」の疑いがあることを指摘。この問題について、上脇博之・神戸学院大学教授が政治資金規正法違反(不記載)の疑いで9月28日に東京地検に告発をおこなったのだ。
そして、この「闇パーティ」の目玉は、当時、自民党の選挙対策委員長を務めていた甘利氏による講演会だったのだ。
甘利氏がもし違法の「闇パーティ」であることを知った上で“客寄せパンダ”として参加していたとすれば、それだけで重大事だ。しかし、じつはこの問題はさらに重大な問題をはらんでいる。
というのも、この「闇パーティ」の開催と金集めに協力していたのが、「有力政治家たちの集金マシーン」「政官財をつなぐ癒着ビジネス」と指摘されてきた団体だからだ。
その団体は、「情報、人脈、人材を共有する経営者の会」と言われている「志友会」なる団体で、経営コンサルタント会社のライズ・ジャパンが運営。中小企業の経営者らを対象に、“秘密”の「勉強会」を、コロナ以前には月1〜2回も開催していたという。だが、驚くのはその費用。会費は月10万円を一口以上と高額で、さらに勉強会は主に1万2000円の参加費が必要だという。つまり、会費だけでも1年で最低でも120万円もかかるのである。
もちろん、それほどの金を会員が支払うのは、勉強会に講師として登場するのが政権幹部や現職の事務次官といった高級官僚などだったからだ。「志友会」の資料によると、2017年以降、官房長官時代の菅義偉・前首相が2回、厚労相などを務めた加藤勝信・前官房長官が3回、麻生太郎・自民党副総裁が2回、小泉進次郎・前環境相が自民党厚労部会長時代から3回も講師を務めていたというのだ。
この志友会の存在について報じた「しんぶん赤旗 日曜版」3月3日号では、元会員が「月10万円は高いが、すごい人とお近づきになれる」と語っているが、こうした錚々たる政権幹部と直接、名刺交換や写真撮影ができるとなれば、会員が集まるのも当然なのだろう。実際、菅氏や麻生氏、加藤氏といった菅政権幹部が「志友会」会員たちと一緒に写った写真も掲載されていた。
さらに、この勉強会を運営してきたライズ・ジャパンの売り上げは、2015年度9月期は6億円だったにもかかわらず、2019年9月期には11億円と、わずか4年で2倍近くにまで急成長。会員も460社から850社前後まで増加しているという。
まさしく、政権幹部が「広告塔」となり、業績を伸ばしてきたライズ・ジャパン。そして、このように名だたる政権幹部が「勉強会」で講師を務めてきたのは、「志友会」での結びつきから政治家側が多額の献金を受け取ってきたためだ。
たとえば、小泉前環境相は2017年、2018年、2019年に3回、勉強会の講師を務めているが、ライズ・ジャパンの仲井力社長は2017年から2019年のあいだに、小泉前環境相の資金管理団体や政党支部に対して個人や会社名義で計550万円も献金している。だが、それだけではなく、ライズ・ジャパンは会員たちに対して、小泉前環境相の政治資金パーティの案内メールを送付。「会員の出欠の取りまとめにつきましては弊社にて行います」と伝えていた。つまり、実質的に献金の集金役を担ってきたのだ。
政治資金規正法では、パーティ券代金を集金するなどの「あっせん者」がおり、あっせん額が20万円を超えた場合には、そのあっせん者の氏名や金額などの報告を義務づけている。しかし、ライズ・ジャパンは〈自らは集金せず、議員事務所の口座番号を会員に伝えて振り込ませる〉というかたちをとり、網の目を潜っているのだ。