この期に及んで「9月末までにみなさんに打てるワクチンが入ってくる」と胸を張る厚顔
いや、もっとひどかったのはこのあとだ。番組では視聴者から「40〜50代の重症者が増えてきています。接種の優先順位を誤ったと考えていますか?」という質問が投げかけられたのだが、河野大臣の返答はこんなものだった。
「あのー、ワクチンの量がほんとうに絞られていることを想定して65歳以上ということをしましたけれども、9月末までには希望する国民のみなさんに打てるだけの量のワクチンが入ってきますので」
「首都圏・近畿圏といった、いま緊急事態宣言が出されているようなところは、かなりの数の職域接種がスタートしておりますので、そこでも打っていただけますので、そこは50代問題もしっかりワクチンを打っていくことでクリアできると思っております」
おいおい。この間、菅首相をはじめとして政府が「医療従事者と高齢者の2回接種に十分な量を確保」と喧伝し、河野大臣自身も「確実にワクチンは届く。コンサートのチケットと違って売り切れはない」などと強調してきたことを忘れたのか。それを「ワクチンの量が絞られていることを想定していた」だの、すでに40〜50代の重症化が問題になっているのに「9月末までには全員分のワクチンが入ってくる」だの言い出すとは、無責任にもほどがある。
さらに、河野大臣は“50代問題”を「職域接種」でクリアできると言い張るが、その職域接種で使用するモデルナ製ワクチンの6月末までの供給量が当初の4000万回分から3分の1の量である1370万回分になったことをゴールデンウィーク前には把握しながらその事実を“隠蔽”しつづけ、見切り発車で6月21日に職域接種をはじめて混乱を招いたのはどこのどいつだ。
しかも、申請を済ませたのに職域接種が待機状態となっている会場は3000件にも及んでいることについては河野大臣自身も認め、「要望が強かったのを見誤った。私の失敗で申し訳ない」と謝罪を口にしているが、これは「要望を見誤った」というような話ではない。問題になっているのは、どうして供給が3分の1になることを知っていながら職域接種に踏み出したのか、という点だからだ。