『クローズアップ現代』旧ホームページ
国民の政権への批判・不満がこれだけ高まっているというのに、ますます官邸に対する忖度をエスカレートさせているNHK。しかも、ここにきてそのことを象徴する異常な人事が発覚した。
NHKで “官邸の代理人”と呼ばれる板野裕爾専務理事野の退任案が一旦出されながら、官邸の意向でひっくり返っていたというのだ。毎日新聞がスクープした。
板野専務理事は、菅首相の右腕・杉田和博官房副長官とべったりで、2014年には専務理事・放送総局長に昇格。以来、菅−杉田ラインの意向を受けて政権批判潰しに動いてきた。
2016年、『クローズアップ現代』の国谷裕子キャスターが当時、官房長官だった菅義偉・現首相にインタビューで厳しく迫ったことが原因で降板させられたが、これを主導したのも板野専務理事だった。
その後、板野氏は籾井勝人会長と対立して一旦、退任するものの、2019年4月に専務理事に復帰。これまで以上に政権批判に目を光らせ、些細な報道にまで圧力をかけ、かかわった記者やキャスターを片っ端から飛ばしてきた。
しかし、 “官邸の代理人”である板野氏だが、今年4月、すでに理事と専務理事通算で3期6年になったため、退任すると思われていた。ところが、蓋を開けてみると、再任。理事は2期4年でやめるのが通例なのに、板野氏は4期目に入ってしまったのである。
そして、今回の毎日新聞の報道で、この異例人事の裏に、官邸の意向があったことがわかった。
実は、NHKのトップ・前田晃伸会長は4月、板野専務理事を予定通り退任させる役員人事案を経営委員へいったん郵送させていたというのだ。ところが、同意を得る経営委員会の直前に撤回し、再任する案に差し替えていたのだという。
毎日新聞の報道によると〈前田会長は、事務方を通じて4月2日に最初の人事案を各経営委員へ郵送させていた。しかし、6日の直前になって各委員に「なかったことにしてほしい」と事務方から連絡があり、6日の会合では理由の説明なしに人事案の文書は回収された〉という。
もちろん、この異例の経緯をみれば、菅−杉田ラインが前田会長に圧力かけたと考えた間違いないだろう。
黒川弘務・東京高検検事長の定年延長や日本学術会議の任命拒否と同じ、菅政権のゴリ押しである。
しかし、問題は“菅官邸の代理人”板野専務理事が残ることになったNHKの今後だ。いったいどんな恐怖政治がしかれるのか。本サイトでは、2019年4月、板野専務理事が復帰した際に、その報道への介入のやり口を検証した記事を配信している。その記事を再録するので、ぜひ読んでほしい。
(編集部)