「日本ではしっかり感染対策を講じることができる」と言い張る菅首相
マスクと大声の応援禁止、直行直帰で感染リスクを抑えられると考えているような人間が、約1万人もの観客を入れて五輪を開催しようとしている……。これだけで背筋が凍るが、さらに菅首相は本日の会見で、真っ赤な嘘を堂々と言い張ったのだ。
会見では、ラジオ・フランスの記者が、選手や関係者がたとえワクチンを接種し感染防止対策をとっても100%の安全性を確保することはできないと指摘した上で、「なぜ感染拡大のリスクや死者が出るリスクがあっても、総理大臣は開催するのは大丈夫と思っているのか。その理由はなんですか。ノーと言えないことでしょうか。それともプライドでしょうか。または経済の理由でしょうか」と質問。すると、菅首相は笑みさえ湛えた余裕の表情で、こう言い切ったのだ。
「ノーもプライドも経済でもありません(笑)。しっかり、日本においては、そうした外国から来られた方を感染対策を講じることができるからであります」
いや、菅首相が開催に固執しているのは「日本ではしっかり感染対策を講じることができるから」などではまったくなく、総裁選と解散総選挙を睨んだたんなる私利私欲じゃないか。しかも、「日本ではしっかり感染対策を講じることができるから」と語ったあとに菅首相が述べたその中身は「選手や関係者はワクチンを打って来る」だの「日本に入る前に2回、PCR検査」だの「選手は毎日検査する」というもの。挙げ句、海外メディアの報道陣については“移動する車両でもアクリル板を設置”と主張し、「そうしたことをしっかりやるから海外から来る人はリスクは非常に少ない」と述べたのである。
言うまでもなく、ワクチン接種をおこなっていても感染する例は実際にあるし、ワクチン接種を選択しない選手もいる。また、陽性者が検査をすり抜けることもある。だからこそ「100%の安全性を確保することはできない」と指摘されていたのに、菅首相はワクチンと検査があれば万全だと言うのである。だったら国民がもっと検査を受けられるようにするべきだし、ワクチンを国民の希望者に全員接種を終えてから開催すべきではないか。
だいたい、菅首相はなにかあると「安全安心の大会」と言うが、同じように「安全」を謳い、いまブラジルでおこなわれているサッカーの南米選手権(コパ・アメリカ)のお粗末な状況を知っているのだろうか。