自民党は「差別をしたくてたまらない」議員の集まり 性暴力被害問題でも女性差別
しかも、けっして看過できないのは、これらが政権与党の為政者による差別発言、ヘイトスピーチであるということだ。為政者が差別発言をおこなうことは、公的にその差別は肯定されるものとして捉えられ、差別をより強く助長・扇動する。性的マイノリティは自殺率が高いと指摘されているが、今回、自民党から飛び出したこれらの差別発言は、それでなくても生きづらさを抱えている性的マイノリティの人びとの状況を悪化させ、危険に晒す「暴力」にほかならない。映像を見ると山谷氏は終始ほがらかに語っているが、会合での他の自民党議員の発言も含め、自分たちがいま、どれほどの暴力をふるっているのか、自覚すべきだ。
いや、というよりも、今回の件であらためてはっきりしたことは、自民党は「差別をしたくてたまらない」議員の集まりであり、そんな政党が政権与党であるというこの国の末期的状況だ。
そもそも、野党は行政や企業などにおける差別的な取り扱いを禁止する「LGBT差別解消法」を打ち出した一方、自民党は努力義務でしかない「理解増進法案」にとどまり、前述したように「差別は許されない」という当たり前の文言にさえケチをつけている。だが、それも当然だ。ご存知のとおり、2018年には杉田水脈・衆院議員が“LGBTは子供をつくらない、つまり生産性がない”と主張して大きな批判を浴びたが、当時の安倍自民党は何の処分もくださなかった。ようするに、自民党は「性的指向および性自認を理由とする差別は許されない」などという文言を法案に入れてしまえば自分たちが槍玉にあがることを自覚する「差別者の集団」なのである。
オリンピック憲章では性自認・性的指向に基づく差別を禁じているが、その文言に反対する意見が政権与党から当然のように飛び出す国は開催国として完全に不適格で、いますぐ返上すべきだとしか言いようがないが、このような「差別者集団」たる自民党による弊害は女性の権利の問題でも同様にあきらかになっている。
実際、先の杉田議員は昨年も性暴力被害の問題にかんしても「女性はいくらでも嘘をつけますから」などという差別発言をおこなったが、これも菅自民党は処分をくださず、口頭注意で済ませた。また、選択的夫婦別姓制度の導入も自民党内で猛反対に晒され、議論は前身するどころか後退してしまった。このとき強固に反対論を唱えた議員が、山谷氏や高市早苗・前総務相、有村治子・元女性活躍担当相といった極右女性議員の面々だった。