参議院インターネット審議中継より
五輪開催反対の声が強まるなか、5月7日・8日に東京新聞ウェブ版で配信された演出家・宮本亞門氏のインタビューが大きな話題になっている。
宮本氏は五輪組織委が主催するイベントでモデレーターを務めたり、コンサートの企画・構成を手掛けるなど、東京五輪にかかわってきたが、コロナ感染が拡大して以降、開催中止を呼びかけてきた。
しかし、今回の東京新聞のインタビューで、宮本氏は「平和や平等を掲げる五輪精神と、正反対の事実が進行している。大会は中止すべきだ」とあらためて中止を訴えただけでなく、日本政府や国際オリンピック委員会(IOC)を真っ向批判。東京五輪の開催に加担したことへの罪悪感まで吐露している。
「IOCや政府の利己的な考えは、「他人のことを思う」という利他的な精神と正反対。国民はその間で心が引き裂かれています」
「2013年の招致決定当初、「世界一お金がかからない五輪」や「復興五輪」といった発言を信じようとした。これだけ政府が断言するのだから、と。17年には大会の公式イベントの演出を引き受けた。
しかし大会経費は倍以上に膨れ上がり、福島第一原発事故の後処理も進まない、全て誘致のための架空のものだった。悲惨な現実を見て「何ということに加担してしまったんだ」と罪悪感にさいなまれました」
まさに宮本氏の言うとおりだろう。放映権料欲しさに日本に開催を迫るIOC、政権浮揚のために五輪開催にこだわる菅政権、どちらも日本国民の生命を守ることなどつゆほども考えていない。
「コンパクト五輪」などというのもまったくの嘘で、2013年の招致時は7300億円としていた大会経費は、コロナ感染の始まってない2019年末の段階で1兆3500億円、そしてコロナによる延期で1兆6400億円と、完全に倍増。国の負担もさらに増えて、コロナ対策をあれだけケチりながら、五輪には今年度予算と昨年度の第3次補正予算で1410億円を計上している。
ようするに、宮本氏はこうした政府のインチキ、国民の命の軽視を目の当たりにして、「何ということに加担してしまったんだ」と罪悪感を吐露したのだ。