懲戒解雇でなく辞職という処分がおかしかった 安倍首相が切れないのは損失補填が自分の指示だから
実は、本サイトは、安倍氏が配川氏の「辞職」を発表した昨年12月の時点から、「なぜそもそも懲戒解雇でないのか」と、疑問を呈していた。
たとえば、検察は安倍事務所がおこなった「前夜祭」費用の補填額を2016年から2019年の4年間で計708万円だと認定しているが、この補填の原資について安倍氏は昨年12月の会見でこんな説明をしていた。
「当該資金についてでありますが、資金につきましてはですね、私のいわば預金から下ろしたものを、たとえば食費、あるいは会合費、交通費、宿泊費、私的なものですね。私だけじゃなくて妻のものもそうなんですが、公租公課等も含めて、そうした支出一般について事務所に請求書がまいります。そして事務所で支払いをおこないますので、そうした手持ち資金としてですね、事務所に私が合わせているもののなかから支出をしたということであります」
私的な支払いのために自分の預金から下ろして事務所に置いてある「手持ち資金」から、「前夜祭」費用の補填をおこなった、つまり、安倍前首相の“ポケットマネー”から出されていた、というのである。
私的な支払いのために預かった金を安倍前首相に断りもなく秘書が勝手に流用していたとなれば、横領ではないか。懲戒解雇どころか、背任か横領罪で被害届を出すとか訴訟を起こすとかするような問題だ。
にもかかわらず安倍前首相は、自分を欺きつづけた秘書を即刻懲戒解雇することもなく、公設第1秘書である配川氏と東京の私設秘書のふたりを「辞職」という扱い。しかも会見で、配川氏の今後について問われると、安倍前首相は「本人も当分の間、謹慎していきたいというふうに考えているということであります」と回答。いずれ復職する可能性まで匂わせていた。
そして今回、赤旗のスクープによって、会見からわずか3カ月程度で、実際に配川氏は私設秘書として復帰していたことがわかったのだ。
これこそが、前夜祭の補填について安倍氏が把握していた、あるいは安倍氏の指示のもと補填が行われたことの決定的な証明といっていいいだろう。