首相官邸HPより
この宰相は国民を見殺しにするつもりなのか──。新型コロナの感染拡大を受けて昨日2日、東京都の小池百合子知事や神奈川県の黒岩祐治知事ら首都圏の4知事が緊急事態宣言の発令を検討するよう西村康稔・経済再生担当相に要請をおこなったが、菅義偉首相がいまだに否定的な姿勢を崩していないというからだ。
東京都は大晦日に新規感染者数が1337人となり、政府の指標で最悪の「ステージ4(感染爆発)」の基準をすべて超えただけでなく、本日3日には重症患者が101人と緊急事態宣言解除後では初の100人を超えた。
無論、これは十分予想されていた事態だ。たとえば、12月18日に東京都病院協会は〈現在、東京都では医療崩壊直前です〉という緊急メッセージを発表。そのなかで〈現状のまま感染者が増え続け、東京都で1日1000人を超えるような事態になれば、適切な医療を受けられず死亡する人が出てくることが高い確率で予想されます〉とし、〈緊急事態宣言やロックダウンに匹敵する極めて強力な対応を行うことが不可欠〉と訴えていた。その恐れていた事態が、いままさに現実となったのだ。
しかし、医療従事者や専門家たちが鳴らしてきた警鐘を無視し、感染爆発と医療崩壊を招いた菅首相は、なんと、この期に及んでも緊急事態宣言を出す気がないらしいのだ。
昨日の4知事による緊急事態宣言発令検討の要請では、菅首相に近い黒岩知事も加わったことから、一時は水面下では政府も要請に応じる方向なのかと見る向きもあった。しかも、政府側の西村大臣も、東京都で新規感染者数が1300人を超える前日の12月30日にはツイッターに投稿した動画で「緊急事態宣言も視野に入ってくる」と語っていたのだ。しかし、知事から直接要請を受けたというのに、西村大臣が打ち出したのは「営業時間短縮の強化」でしかなかったのである。
これはもちろん、菅首相の方針にほかならない。実際、西日本新聞は本日、その内幕をこのように伝えている。
〈政府は水面下の交渉で知事側に難色を示した。首相が宣言発出に否定的だったからだ。
官邸に独自のパイプを持つ神奈川県の黒岩祐治知事はこの日、西村氏ではなく首相との直接会談を強く要望したが、首相は応じなかった。〉
だが、菅首相は“子飼い”である黒岩知事の会談を蹴っただけではない。4知事と西村大臣の面会は昨日15時半からおこなわれ、18時半すぎからは会見が開かれたが、一方、菅首相は対応を西村大臣に丸投げしただけではなく、面会が終わるのを待つことなく、17時7分には公邸を出て、赤坂にある衆院議員宿舎に帰ってしまったのだ。
この重大局面にあって、知事たちにも会わず、大臣の報告を受けることもなく、さっさと公邸から引き上げる──。ようするに、「緊急事態宣言を出す気はない」という方針を態度で示してみせたのだ。