イギリス、ドイツ、ベルギー、オーストリアなど世界各国は大幅減税しているのに
「歳出拡大の同調圧力が野放図につづく」という言い草も酷いが、それを理由に「消費増税を中核に据えた議論が必要だ」とは、まったく開いた口が塞がらない。新型コロナの影響で収入が減って家計が圧迫されるなかで増税などすれば、さらに国民の生活は追い込まれ、消費はもっと冷え込み、内需がボロボロになることは明々白々ではないか。
実際、世界では多くの国が減税に舵を切っている。
たとえば、ドイツでは半年間、日本の消費税にあたる付加価値税を19%から16%に引き下げ、食料品などに適用されている軽減税率も7%から5%に引き下げ。また、イギリスも7月15日から半年間、レストランやホテル、映画館などの利用でかかる付加価値税を20%から5%にまで大幅に引き下げている。同様にベルギーでも、レストランやホテルなどを対象に12%から6%に引き下げた。このほか、オーストリア、チェコ、ケニアなども減税に踏み切っており、7月22日時点で税率引き下げや納税免除などの減税措置をとっている国は19カ国にものぼる。
減税措置によって打撃を受けている産業に刺激を与え、雇用を守り、同時に家計の負担を減らす。事実、ドイツの減税措置では日本円にして月1万4000円余りの家計負担が減るといい(NHKニュース7月2日付)、ドイツのショルツ副首相兼財務相もこう述べている。
「消費を底支えするには速度が必要だ。期間限定なのは速度が必要だからだ。人々は買い物に行き、生活への自信も復活するだろう」(しんぶん赤旗7月24日付)
さらに、新型コロナの影響で大きな煽りを受けているのは低収入の非正規雇用者だが、消費税は低所得者であるほど負担が重くなる逆進性がある。つまり、いま消費減税をおこなうことで、コロナの影響を大きく受けている生活が苦しい人たちの負担を減らすことができるのだ。
ところが、この国は感染拡大の最中に、感染をより広げる「Go Toトラベル」などという世紀の愚策に税金を注ぎ込んでいる上、コロナを理由に「増税するべき」などという意見が政府の審議会から飛び出す始末。