首相の諮問機関「政府税調」がコロナ対策の財源確保と称し「消費税増税」を検討
8月7日に発表された6月の実質賃金は4カ月連続で減少して前年比1.9%減、6月の消費支出も前年比1.2%減少となり、新型コロナが生活に与える影響が深刻化している。それでなくても昨年10月の消費税の税率引き上げによって国民生活は大きな打撃を受けていたが、そこにコロナが追い打ちをかけるという悲劇的な状況だ。
そんななか、永田町では「景気悪化を受けて、安倍首相が消費減税の是非を問うことを大義にして秋にも衆院解散・総選挙に打って出るのでは」という噂がくすぶっているが、ところがどっこい、政府では耳を疑うような議論がおこなわれていた。
というのも、8月5日に時事通信が「「消費増税中核に」政府税調、財政悪化を懸念」とタイトルに打った記事を配信したのだ。そこにはこう書かれていた。
〈政府税制調査会(首相の諮問機関)は5日、ウェブ会議方式で総会を開催した。
会合では新型コロナウイルス対応で財政悪化が一層深刻となっていることを懸念し、「消費税増税を中核に据えた、骨太の議論が必要ではないか」といった意見が出た。〉
この状況下にあって、安倍首相の諮問に応じる内閣府の審議会では、消費税減税ではなく、なんと「増税するべき」という議論がおこなわれている、というのである。
本サイトでも、問題の政府税制調査会の審議中継を確認してみたが、この発言をおこなったのは、大和総研専務取締役である熊谷亮丸氏だった。熊谷氏は“人災だったリーマン・ショックとは違ってコロナは天災の色彩が強い”と言うと、こうつづけたのだ。
「(天災のため)責任をなかなか追及することができないので同調圧力が強くて、もう野放図にですね、歳出の拡大圧力、財政の悪化がつづくと。こういうリスクがあるわけでございますから、財源の調達の機能、とくに消費増税を中核に据えた、まあそういう骨太の議論がですね、必要ではないか」