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ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』を読めば、安倍首相が病気で辞任ししたのでなく国民が声をあげ追い詰めたことがよくわかる

ぼうごなつこがあとがきで語った連載の理由〈何が起こったのかを忘却させないため〉

 安倍首相が辞任したのは「病気」のためであり、ぼうご氏のマンガが描いていたような国民の批判なんて関係ない。そんなふうに嘯く人がいるかもしれないが、そういう人こそ、この『100日で崩壊する政権』を読んでみるといい。

 ぼうご氏はこの連載マンガを描き始めた理由について、本書のあとがきで〈コロナ禍にある政権が場当たり的で自分勝手な政策を行っていく様を記録するため〉〈この時、この瞬間、いったい何が起こったのかを忘却させないため〉としており、まさしく安倍政権の酷すぎるコロナ対応の記録だ。そして、同時に『100日で崩壊する政権』は、安倍政権が追い詰められていった記録でもある。

 象徴的なのが、検察庁法改正案に対する反対の声だろう。特定秘密保護法、安保法制、共謀罪、働き方改革、入管法改正……数々の悪法を安倍政権はそれまで、どれだけ反対の声が上がっても、どれだけ大きな問題点が発覚しても、数の力で強行成立させてきた。しかし、安倍政権は検察庁法を改正することができなかった。

 検察庁法改正に多くの人が反対の声を上げたこと、さらにその前から安倍政権のコロナ対応に多くの人が批判の声を上げていたこと。それが、安倍政権を追い詰めていったのだ。

 この連載が進んでいくのと並行して、安倍政権の支持率はどんどん下降し、国会が閉会してもいつものように戻ることはなかった。

 安倍首相は辞任の理由を「病気」と語っているが、これは政権投げ出しを批判されないための表向きの言い訳にすぎない。実際に辞任を表明したのは、連載完結から約50日後の8月28日だが、検察庁法への批判が高まった5月下旬には「辞めたい」と漏らすようになり、6月10日には麻生財務相とポスト安倍の人選について話し合っていたといわれる。連載完結した7月10日頃には、すでに安倍首相辞任、菅首相誕生に向けて、シナリオは動き出していたことになる。

 安倍首相の病気が本当だろうが嘘だろうが、安倍政権が終わった理由が、病気などではなく、政治的に追い詰められた結果であることは明白だ。『100日で崩壊する政権』を読めば、いかに安倍政権が追い詰められていったかがハッキリわかるだろう。

『100日で崩壊する政権』は、2つの意味でいま多くの人に読んでもらいたいマンガだ。ひとつは、安倍政権の失政と横暴の数々を忘れないために。もうひとつは、政治を監視し声を上げることの大切さとその力を忘れないためにだ。

 安倍政権は倒れたものの、安倍政権を継承すると言ってはばからない菅政権が誕生し、高い支持率を誇っていることに無力感を感じている人もいるかもしれない。でも、あれだけの一強体制を謳歌していた安倍政権も、多くの人が監視し批判の声を上げれば倒れたのだ。

 菅政権に対しても、監視を続け声を上げ続けること。『100日で崩壊する政権』はその重要性を再認識させてくれるし、行動する勇気を与えてくれる。

最終更新:2020.09.29 10:25

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