森友公文書改ざんのキーマン・太田充氏も財務省事務次官に登り詰め
また、忘れてはならないのは、今年7月、ついに財務省事務次官にまで登り詰めた太田充氏だ。
太田氏はいえば、言わずと知れた森友公文書改ざん問題の“キーマン”のひとりだが、その太田氏の疑惑には必ず菅官房長官の存在が見え隠れしている。
公文書改ざんは2017年2月17日の「私や妻が関係していたということになれば、私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」という安倍首相の国会答弁がすべてのはじまりだったが、安倍首相は「総理を辞める」宣言のあと、菅官房長官に「私の家内の名前も出ましたから、しっかりと徹底的に調べるように」と指示を出していたことを国会でも認めている。そして、菅官房長官はこれを受けて、同月22日に財務省の佐川理財局長と中村稔・総務課長、太田充・大臣官房総括審議官(いずれも当時)を呼び出しているのである。改ざんがはじまったのは、その2日後、24日のことだ。
つまり、ここで菅官房長官が佐川氏や太田氏らに改ざんを命じた可能性が濃厚なのだが、それだけではなく、共産党が独自入手した2017年9月7日におこなわれた太田理財局長(当時)と国交省の蝦名邦晴航空局長(当時)らの話し合いを記録した文書では、太田氏は会計検査院の報告書への介入を口にすると同時に、こうも述べている。
「両局長が官邸をまわっている姿をマスコミに見られるのはよくない。まずは寺岡を通じて、官房長官への対応をするのが基本だ」
この「寺岡」というのは、当時、菅官房長官の秘書官を務めていた寺岡光博(現・内閣官房副長官補付内閣審議官)のことを指していると思われるが、ようするに菅官房長官と太田氏は会計検査院の報告や国会対応をどうごまかすかなどの相談をおこなっていたのだ。
自分に楯突く官僚は左遷し、意のままに動く官僚は昇進させていく──。こうして安倍政権は公文書改ざんという国家的犯罪をはじめ、加計学園問題のような政治の私物化、あるいは「アベノマスク」のような無茶苦茶な官邸主導の政策に官僚を従わせてきたが、政権の意向に歯向かう官僚は異動させることを宣言する「菅総理誕生」によって、官邸支配はより強固なものとなってゆくだろう。
前述した、菅官房長官に異を唱えたことによって報復人事を受けた平嶋氏は、「週刊朝日」オンライン版のインタビューで「官房長官に意見することに、怖さはなかったのですか」と訊かれ、こう答えている。
「日本が戦争で負けたのは、米国と戦っても負けることはわかっていたのに、軍人を含む官僚たちが政治家に客観的な事実を報告しなかったからです。政治家にとって耳の痛い話でも、役人は事実をちゃんと報告することが仕事です。それをしなかったから、たくさんの悲劇が起きた。
私としては、事実を伝えることは役人としての当然の仕事で、このことについては今でも後悔はありません」
昨日13日放送の『日曜討論』(NHK)では、石破茂氏が「政府、官僚は国民のためにあり、権力のためにあるのではない」と菅氏に釘を差していたが、その声は菅氏の耳にはまったく届いていないだろう。菅総理の誕生は、「安倍政権の継承」どころか、「安倍政権の悪夢」を深化させることにほかならないのである。
(編集部)
最終更新:2020.09.14 09:34