志らくに改めて教えておきたい!「江戸しぐさ」のような嘘歴史はなぜ批判されねばならないのか
この人の頭の悪さは重々承知だったが、それにしてもここまでとは……もはやどうかしているとしか思えないではないか。こんなお寒いツイートがまだまだ続くのだが、あまりにもしょうもないので省略。ただ、暴走している志らくのために、「江戸しぐさ」のようなトンデモ嘘歴史がなぜ批判されねばならないのかについては、あらためて言っておこう。前述の原田氏は著書でこう述べている。
〈「江戸しぐさ」問題というのは、つまるところ虚偽が歴史的事実として教育現場で通用していることの是非を問うものである。〉
〈嘘を嘘と知りつつ道徳の教材に用いるのは、それ自体が反倫理的な行為である。嘘でも内容的にはいいことだから道徳に使っても差し支えない、という意見に対してはこう答えざるをえない。〉
(『江戸しぐさの終焉』星海社新書、2016年)
嘘の歴史を、権力者やメディアなど大きな影響力を持つ者たちが利用するとき、その危険性があらわになる。原田氏は『江戸しぐさの終焉』のなかで、「江戸しぐさ」流行の背景に高橋史朗氏らが提唱するトンデモ疑似科学「親学」の存在を指摘しているが、その「親学」はまさしく、安倍首相周辺ら右翼勢力にとって戦前の父権的家族観や「家制度」のような思想を復権させるための理論となってきた。
だが、おそらく志らくには、そうした偽史やトンデモを吹聴することの危うさへの意識はまったくない。もっと言えば、この人の発言からは一種の思想的なものすら感じられない。だからこそ、かえって致命的なのだ。
社会に対する影響力に無自覚で、自分の無謬性を頑なに信じ、批判を受ければ逆ギレして誰も相手をしたくなくなるまで意味不明なことをがなりたてる落語家。こういう人物が情報番組のMCとなり、“朝の顔”としてお茶の間に浸透している事実を、私たちはもっと深刻に捉えたほうがいい。
(編集部)
最終更新:2020.08.26 08:04