CO2削減も詭弁弄し攻撃、吉村知事のインチキ発覚で「橋下的詐術」の限界が…
しかし、もちろん橋下氏がそんなことをきちんと考えているわけがない。実は、この日の『ゴゴスマ』には、古舘伊知郎も出演しており、この流れを受けて古舘が橋下氏に地球温暖化問題についての考えを正していた。
ところが、さっきまでコロナ対策の不要を訴えるために熱中症問題を持ち出していた橋下氏は、今度はこの温暖化対策について不要論をぶち始めたのだ。
「いまのこの温度がCO2の影響かどうかっていうのはまだわからない」「CO2以外にもヒートアイランド現象とか都心化とかいろんなものが絡み合っている」など、トンデモまがいのCO2原因懐疑論を蒸し返した上、こう主張したのだ。
「政治には優先順位が必要で、たしかにCO2削減はやらなきゃいけないんだけど、アフリカ行ってください。まだ水も飲めないとこがあるんですよ。トイレないとこがあるんですよ。伝染病が蔓延しているところがあるんですよ。先そっちじゃないですか」
たしかに、発展途上国のなかには、CO2削減より目の前の対策や衛生環境整備、という国はある。しかし、だからこそ、これまで環境破壊で富を獲得してきた先進国はこうした発展途上国のぶんもCO2削減に取り組む必要があるのではないか。それを、アフリカは衛生環境整備ができていなかから、CO2削減よりまずそっち、などというのはアフリカの貧困や衛生問題の完全な悪用でしかない。
ようするに、橋下氏はコロナ対策を求める声には熱中症を持ち出し、熱中症対策、温暖化対策を求める声にはアフリカの衛生問題を持ち出し、というふうに、問題への対策を否定するために、別の問題を持ち出しているだけなのだ。
アフリカの衛生問題を持ち出した橋下氏に「だったら、アフリカの衛生問題に取り組みましょう」とアプローチしたら、きっと「宇宙ゴミの問題が解決されてないから、まずそっち」とかなんとか言うのではないか。
橋下氏がこうした話のすり替えで問題の対策を否定しつづける背景にはもちろん、彼の強固な新自由主義思想がある。
大阪府知事や大阪市長時代、医療や保健衛生行政を大幅削減・合理化して、大阪の医療体制を脆弱化させたことが象徴的なように、とにかく、橋下徹という人は人々の生活や福祉のために金を使うのがとことん嫌な人間なのだ。その結果、弱者がどうなろうと、社会がどうなろうと知ったこっちゃないと考えているのである。
しかし、橋下氏がほかの新自由主義の政治家と違って狡猾なのは、本当は住民にさらなる負担とサービスカットを強いる政策しかしていないのに、「大阪のために頑張っている」と大阪府民、大阪市民を完全に騙してきたことだ。いま、メディアで見せているような詐術と詭弁で批判や疑問の声を封じ、そのイメージだけを巧みにつくり上げてきたのである。
だが、こんな詐術がいつまでも通用するはずはない。ここにきて橋下元知事の手法をそっくり受け継いだ吉村知事のインチキが次々発覚しているが、これは“橋下的詐術”に国民や大阪府民が気づきはじめたことの表れなのではないか。
(編集部)
最終更新:2020.08.22 11:25