テリー伊藤の撤回は矛盾だらけ!インサイダー取引の主語が“自分”からいつのまにか“会見場にいた人”に
しかし、吉村知事のこの詐術的抗弁はその後、テリー伊藤が発言を“修正”したことで、さらに勢いづいた。テリーの発言修正は、吉村知事が会見の後、11日の18時30分ごろから出演した関西のニュース番組『報道ランナー』(関西テレビ)で報道されたものだ。
同番組で、テリー伊藤にインサイダー問題について電話取材をおこなったところ、こんな回答が返ってきたことが紹介された。
「会見があることを知っていただけで、詳細は知らなかった。会見時にうがい薬が机の前に並んでいたので会見場にいた人は事前に株が購入できるのではと思い、番組での発言につながった」
すると、吉村知事は、番組終了後から数時間経った21時台にTwitterを更新。さらに強い調子でこんな“警告”をおこなったのだ。
〈テリー伊藤さん自身が、TVでの発言を撤回されています。インサイダー取引は犯罪です。そのような事実はありません。ネット上での吉村インサイダー疑惑なるものは、名誉毀損になりますので、ツイートやリツイートは削除されるようお願いします。一線を超えるものは、然るべき対応をとります。〉
〈(前略)公人ですので批判は受けますが、名誉毀損はダメです。〉
なんと、テリーの“発言修正”を錦の御旗に、ツイートの削除や、名誉毀損をちらつかせ始めたのだ。
しかし、そもそも、吉村知事が錦の御旗のように掲げているテリーの“発言修正”じたいが、まったく整合性のない矛盾だらけのものだ。
テリー伊藤は『サンジャポ』では「この話をですね、1時間半ぐらい前に知った」と話した上で「これをいま買っておけばいいなと思って。場合によってはこれね、薬メーカーの株価もかえるなっていうふうに、一瞬、頭も入ったんですけど、それを止めたんですよ。それちょっとインサイダー取引みたいな感じで、僕の立場でそれやると申し訳ないなと思ってやらなかったんですけども」と述べていた。つまり、「1時間半ぐらい前」にうがい薬についての会見だと聞かされ、自分が株をいま買えば……と考えたもののインサイダー取引みたいになるから止めた、というわけだ。
ところが、『報道ランナー』の取材では、「会見があることを知っていただけで、詳細は知らなかった」「会見場にいた人は事前に株が購入できるのではと思った」と発言を修正したのだという。
『サンジャポ』でははっきりと、「僕の立場でそれやると申し訳ないな」と言っていたのに、インサイダー取引ができる可能性がある人物が「自分」から「会見場にいた人」にまるっきり変わってしまっているではないか。これ、記憶違いや勘違いで説明がつくような話ではないだろう。
しかも、テリーは「うがい薬が机の前に並んでいたので会見場にいた人は事前に株が購入できると思った」と言うのだが、これもおかしい。というのも、うがい薬は会見が始まる前から机に並んでいたわけではないからだ。この日の会見は2部構成で、1部の会見が終了したあとに設けられた約10分ほどの休憩時間のあいだにうがい薬は机の上に並べられた。そして、薬がカメラに映し出されたのは14時20分のことで、吉村知事が「うがい薬がコロナに効く」という発表を始める直前だった。「会見場にいた人が事前に購入できる」時間なんてないし、『ミヤネ屋』に出演していたテリーが本番中に「僕の立場でそれ(インサイダー取引を)やると申し訳ないな」なんてことを考えるというのもありえない。