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分科会はなぜ東京除外だけの「GoTo」実施に反対しなかったのか? 官邸の言いなりになった医療専門家たちのひどい言い訳

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観光庁HPより


 昨夜、東京除外を決めた「Go Toトラベル」キャンペーンが波紋を広げている。きょう会見をおこなった赤羽一嘉国交相は新たに「若者や高齢者の団体旅行は控えてもらうことが望ましい」と言い出し、さらに除外された都民や都内で宿泊予約をしていた人のキャンセルについても国は補償しないというからだ。

 だが、根本的な問題は、東京以外でも感染が拡大するなかで旅行を後押しすることの危険性だ。政府は「体調が悪い人は旅行を控えて」などと言うが、無症状者が医療体制の脆弱な地方で感染を広げてしまえば、その地域は一体どうなるのか。こんなことは素人でもわかりきった話だ。

 しかし、こうした問題を無視して政府は東京除外を発表し、「Go Toトラベル」を中止にはしなかった。しかも、絶句したのは、昨日夜から開催予定だった政府の分科会での判断を待つことなく、分科会開催前に赤羽国交相と西村康稔コロナ担当相は安倍首相と面会し、その後、唐突に「東京除外」を発表したことだ。

 西村コロナ担当相は直前までおこなわれていた参院予算委員会でも「分科会で専門家に議論してもらい、適切に判断して対応する」と繰り返し答弁していた。つまり、分科会の議論を踏まえて答えを出すと答弁していたにもかかわらず、その分科会をすっ飛ばして方針を固めたのだ。

 これはようするに、分科会で「Go To」実施自体に異論が出る前に政府の方針を突きつけ、それによって専門家を黙らせようとしたのではないか。

  これまでも政府は専門家会議から出される提言や見解に対し、都合の悪い文言を修正・削除させる一方、安倍首相は何かあると「専門家」に責任を押し付け、さらには全国一斉休校など専門家の意見を聞きもせず打ち出した政策を、あたかも専門家の提言があったかのように語ってきた前科がある。今回も分科会で「Go To」を容認させて「専門家」に責任を押し付けようとしたが、あまりに反対の声が大きいために、分科会より先に東京除外を打ち出すことで「安倍首相の判断」であることを強調させ、東京除外の方針で分科会にも追認させようとしたのだろう。

 つまり、またも安倍官邸は専門家を「政治利用」して都合よく使ったわけだが、「Go Toトラベル」の実施に反対しなかった専門家のほうも同罪だ。

 とりわけ呆れたのは、分科会の尾身茂会長の発言だろう。まず、尾身会長は昨日16日に経団連のフォーラムで「旅行自体が感染を起こすことはない」と発言。春には「不要不急の外出自粛」を訴えていた人物が、再び感染拡大の局面にあるいまは一転してこんなことを言い出すのか、さっぱり意味がわからないが、この発言のあと参考人として出席した参院予算委員会では一転、「私の個人的な意見はですね、感染が拡大しているということがある程度判断されればですね、いまの段階で全国的な『Go Toキャンペーン』をやる時期ではないと思います」と答弁した。

 もしかすると、この変わり身の様子から考えると、答弁の時点ですでに政府の方針は東京除外で固まっており、それが尾身会長にも伝わっていたのかもしれないが、問題は分科会での議論だ。

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