軽症者用ホテルはすでに逼迫! 病院経営悪化で病床確保はさらに困難化する可能性も
しかも、さらに懸念されるのは医療提供体制だ。
たとえば、東京都では軽症者や無症状者の療養施設としてきたホテルの部屋がほぼ埋まったと報じられた。昨日になって池袋のホテルを借り上げて新たに使用可能なったとし、来週23日にはさらに1施設を追加するというが、昨日の時点で療養先を調整している最中の人は417人にものぼる。その上、新規感染者が日に日に増している現状を考えれば、療養用のホテルがパンクする事態が心配される。
そして、それ以上に深刻なのは、病院のほうだ。
菅義偉官房長官は昨日の会見で、東京都で新規感染者数が過去最高の記録を更新しつづけているにもかかわらず、ピーク時に確保している病床数が3300床で、ピーク時に向けて1万9000床を確保していると説明し、「入院患者は増加傾向にはあるものの、医療提供体制は逼迫している状況ではないと認識している」と述べた。
だが、この病床確保にもあきらかに時間がかかっている。東京都は6月29日に1週間以内に最大3000床を確保すべく医療機関に準備を進めるよう通知をおこない、7月3日付の読売新聞でも都の担当者が「1週間あれば3000床まで増やせる」「医療体制は切迫している状況ではない」と説明していたのだが、6月29日の通知から2週間以上経っても、いまだに1900床にとどまっているのである。これは病床確保に難航しているということではないのか。
この背景には、新型コロナ患者の受け入れによって病院経営が悪化している点があるだろう。実際、新型コロナ患者を受け入れてきた東京女子医大では夏のボーナスがカットされ看護師約400人が退職を希望している状況となっているが、日本病院会と全日本病院協会、日本医療法人協会が6月5日に発表した「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査(追加報告)」によると、今年4月のコロナ患者を受け入れた病院の医業利益の赤字割合は全国で78.2%、東京ではこれをさらに上回り89.2%にものぼっている。この赤字割合は一時閉鎖した病院(84.2%)よりも高い数字だ。