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吉村洋文知事がコロナワクチン開発でもペテン手口! 専門家の承認前なのに自分の手柄にしようと「治験開始」発表

審査前に行政の長が「治験を実施します」と発表することの危険性

 しかし、この6月17日の治験発表の会見にはもっと大きな問題がある。それは吉村知事がこの時期に治験を決定事項として発表したことそれ自体だ。

 医薬品の治験は、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が必要な調査をおこなったうえ、治験をおこなう病院の審査委員会が審査して承認しないと、スタートできない。その審査はもちろん、専門家が予断をもたず、誰からの干渉も受けず、効果と安全性を客観的、科学的に検証する必要がある。

 ところが、今回のワクチンについては、治験をおこなう大阪市立大学の審査が24日におこなわれたにもかかわらず、吉村知事はそれよりも1週間も早い17日に「6月30日、今月末に人への投与、治験を実施いたします。これは全国で初になる」と断言していたのだ。

 これは、厳正であるべき医薬品審査の手続きを完全に無視する非常に危険な行為だ。

 実際、ワクチンの開発会社である当のアンジェスまでがさすがにまずいと思ったのか、自社のHPで、〈6月16日および17日に、新型コロナウイルス感染症向けワクチン開発についての一部報道がございましたが、弊社から発表したものではありません〉と、必死で松井、吉村発言と無関係であることを強調していた。

 また、吉村知事もあとになって、この会見を「方向性・目標を発表しただけ。目標を示すのは知事として必要な役割」などとごまかしていた。

 しかし、6月17日の会見を聞き直しても、その中身は「目標」などというレベルではない。「6月30日から実施する」とはっきり決定事項として断言していた。

「実は、この時期、世界でいちばん開発が進んでいる英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン供給に向けて、日本政府が交渉を始めるという情報が流れた。これが報道されると、自分たちのプロジェクトが霞んでしまいかねない。それであわてて『国内初の治験が決まった』と発表したんでしょう」(大阪府政担当記者)

 しかも、問題は、単にフライング発表したというだけでなく、吉村知事や松井市長が、治験を許可するかどうかを審査する大阪市立大学医学部附属病院に予算や人事で多大な影響力を持つ行政の長であるということだ。そんな権力者が審査する前から「治験が決まった」などと発表すれば、審査は治験を認める方向に進むのは避けられない。その結果、本来指摘されるべき危険性をスルーされる可能性もあるのだ。

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