安保法制強行の安倍首相に対して久米宏が語った激烈な批判
久米が踏み込んだのはもちろん五輪問題だけではない。安倍首相の民主主義を破壊する独裁政治についても徹底批判していた。たとえば、2015年、安保法案が強行採決されようとしていたときも、腰砕けとなっていったマスコミを尻目に久米は安保法案と安倍首相を苛烈に批判した。同年7月18日放送回で、久米は一刀両断したのち、安保法案について、こう断じている。
「今週あの安全保障関連法案というのが衆議院の委員会で強行採決、そして本会議で賛成多数で成立ということで参院に送られるわけです。まあ、日本が民主主義国家であるかどうか、それは僕、ひとつ疑問ではあるんです。戦争が終わってね、アメリカさんに(民主主義を)押し付けられたわけですから。日本人が自ら獲得したものではないので、ちょっと本物ではない可能性はあります。が、とりあえず民主主義国家で、とりあえず民主主義国家の総理大臣たる者がですね、ほとんどの憲法学者がこれは憲法違反だと言っている法案を成立させようってことですから。これは、本質的に憲法改正と同じなんですよ。改正するということと実質的に同じなので、それを民主主義国家の総理大臣が勝手に強行していいのか、という大問題があると思うんですね。本来なら憲法改正というのは国民投票をしなければいけないんですけど、それもしない! 最低でも、僕は衆議院を解散すべきだと思うんです」
日本に民主主義の精神が根付いているかはさておいても、仮にも民主主義国家の建前を崩さないのならば、なぜ、主権者である国民を無視して、首相の一存で事実上の改憲ができるのか。解散して国民に信を問うのが当たり前ではないのか。そう久米は言っているのである。
「こないだの去年の12月には、一応、アベノミクスというなんだかわけのわからないものを争点にして、衆議院の解散総選挙をやったんです。これは、最低限、国会議員というのは国民の代表ですから、そういう民主主義システムに日本はなっているわけですから、どうも、かなりの国民が疑問をもっているような法案を成立させようという場合には、これを争点にして衆議院の解散総選挙をするのが常道だと思うんです。(しかし安倍首相は)それはする気がない」
「つまり、衆院の解散をしないで、総選挙でこの法案の是非を問わないってことは、はっきり言って、こんなこと言うのもなんですけど、独裁者ですから。完全に。民主主義国家のリーダーは独裁者になってはいけないんです」