東京高等検察庁HPより
安倍首相が国民を虫けら同然に考えていることが、これではっきりとした。SNSを中心に反対の声が大きくあがっている検察庁法改正案について、きょう15日の衆院内閣委員会で強行採決することを、自民党幹部が明言したからだ。
新型コロナ対応に全力を傾けるべきときに、どさくさ紛れの火事場泥棒で問題だらけの法案を押し通そうとしている──先週8日、検察庁法改正案が審議入りしたことを知った有名人を含む多くの人びとは、こんなことは許されないと危機感を抱き、国会前で抗議ができないいま、Twitter上で反対の声をあげた。その数は1000万近くという驚異的な数字にまでなっている。
だが、これを安倍政権は真正面から無視。安倍首相は「インターネット上でのさまざまな意見に政府としてコメントすることは差し控える」(12日の衆院本会議)などと受け合わなかった。さらに、13日には、内閣委員会の委員で自民党所属の泉田裕彦衆院議員がTwitterに〈強行採決は自殺行為〉〈与党の理事に強行採決なら退席する旨伝えました〉と投稿したのだが、その後、自民党は泉田議員を内閣委員から外すという暴挙に出たのだ。
国民からあがる反対の声を黙殺し、党内からあがった異論も強権的に封殺する……。安倍首相がやっていることは独裁そのものではないか。
しかも、昨日おこなわれた総理会見でも、記者から検察庁法改正案をいま押し進めることの問題について質問が飛んだが、安倍首相はデタラメばかり並べ立てたのだ。
「検察庁法の改正についてでありますが、今般、まさに公務員全体の定年延長にかかわることでもあるわけでございますが、政府としてはご承知のように、いま、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に全力をあげて100%の力を入れて取り組んでおります。一方、国会においてはさまざまな法案ですね、この法律だけではなくて年金等々もあります。さまざまな法案においてですね、国会議員としての、立法府としての役割を果たしていただいていると思っております」
「そもそもですね、検察官は行政官であります。行政官でございますから、三権分立ということにおいてはまさに行政、強い独立性を持っておりますが、行政官であることは間違いないんだろうと思います。また、今度は内閣がですね、任命するというのはおかしいじゃないかと言われておりますが(笑)、そもそもですね、そもそも従来、内閣または法相がおこなうこととされておりまして、認証官については内閣がおこなう、それ以外については法相がおこなうことでございます」
「今回の改正により三権分立が侵害されることはもちろんありませんし、恣意的な人事がおこなわれることはまったくないということは断言したい」
何から何までデタラメばかりでツッコミが追いつかないが、そもそも、野党は先月末には家賃支援の法案を提出しているというのに、いまごろ第二次補正予算案の編成を指示している時点で「新型コロナに100%の力を入れて取り組んでいる」などと胸を張れるような状況に安倍首相はない。その上、国民から不信の目が向けられ、異論が噴出している検察庁法改正案をゴリ押ししている時点でどこが「100%」と言えるのか。
しかも、今回の検察庁法改正案を「公務員全体の定年延長にかかわること」「三権分立が侵害されることはない」「恣意的な人事がおこなわれることはまったくない」と主張することも、「そもそも検察官は行政官」「従来、任命は内閣または法相がおこなうもの」などと言うことも、すべてデタラメとごまかしの詐術だ。