左・『モーニングショー』に出演する田崎氏/左・西村大臣(内閣府HPより)
この政権が大事なのはやっぱり自分たちの金だけ、国民を守る気なんてさらさらないらしい。7日、遅まきながら緊急事態宣言を出した安倍首相だが、その裏で、西村康稔コロナ担当相が対象の7都府県知事に休業要請を2週間程度見送るよう要求していたことが明らかになったのだ。
東京都だけはこれに反発し、独自に休業要請を打ち出す予定だが、それも国に押される形でどんどんなし崩しに範囲が縮小されている。こんなことで本当に感染を抑えこめるのか。感染拡大を止めることに効果があると考えたからこそ、私権を制限する緊急事態宣言を出許容したのに、肝心の店舗や企業に休業を要請しないなら、ほとんど意味がなくなってしまう。いや、それどころか感染拡大を放置するようなものだろう。
安倍政権はなぜ、こんな支離滅裂なことをしているのか。理由はもちろん、補償の問題が出てくるからだ。各自治体は休業要請と同時に自粛事業者に営業損失補償することを国に強く求めており、全国知事会も国に要望を出すことを決めている。しかし、安倍首相が緊急事態宣言の際の記者会見で明らかにしたように、政府は補償は絶対にしない方針だ。
「そもそも、安倍政権がなかなか緊急事態宣言を出そうとしなかったのも、経済への影響とこの休業要請にともなう補償を嫌がったからです。しかし、自治体やメディア、国民からプレッシャーをかけられ、緊急事態宣言は出さざるをえなくなった。そこで、あらかじめ2週間の休業要請先延ばしをセットにして、政府が補償しろという流れになるのを止めたというわけです」(全国紙政治部記者)
信じがたい国民切り捨てだが、安倍首相が緊急事態宣言の発出の際に「8割の接触を避ければ、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と述べたのも、まさにこの布石だった。
「そのときに気が付いた人は少なかったですが、この安倍首相の発言も、2週間、外出自粛を続ければ、感染はピークアウトするから、すぐに休業要請する必要がないという意味だった。そして、この安倍首相の発言を受けて、西村大臣が2週間、様子を見ることを自治体に求めたというわけです。シナリオを書いたのは今回も今井尚哉首相補佐官のようですね」(全国紙政治部記者)
しかし、安倍首相が口にした「2週間後のピークアウト」も、西村大臣が求めた「2週間の様子見」も、ここにきてなんの科学的根拠もなかったことがバレてしまった。なんと安倍政権の御用ジャーナリスト・田崎史郎氏がこの「2週間の様子見」を“専門家の意見に従っただけ”として全面擁護、専門家の名前も口にしたのだが、逆に当の専門家に完全否定されてしまったのだ。
それは昨日、9日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でのこと。政府が休業要請の2週間先延ばしを自治体に要請したことを扱ったなかで、玉川徹氏や岡田晴恵・白鴎大学教授がこの措置を批判、田崎氏が擁護するという展開になった。そのなかで、田崎氏はこう語ったのだ。
「一部で西村康稔担当大臣が『2週間待ってほしい、見てみよう』と言ったと伝えられているんですけども、先程、西村康稔さんに電話して、『一体どういうことを言われたんですか?』というふうに確認しましたら、これ、ご本人が話していいって言うんで話しますと、ひとつは『専門家の意見として2週間やめたら効果が出る可能性があります』、専門家の意見として伝えたと」
田崎氏は西村担当相から直接、電話で聞いたとして、「西村大臣は専門家の意見を伝えただけだ」と証言したのだ。
司会の羽鳥から「それは政治判断じゃないということですね」と確認を受けたが、田崎氏は「そうそう。(西村大臣は)『専門家の意見としてそう言いました』と」と断言した。
そこで、羽鳥が「専門家のほうから『2週間やめたら効果が出る可能性がある』という答えが出たという」と岡田教授に話をふったのだが、岡田教授は「その専門家の方のお名前を私、わかりませんけども……」と困惑。すると、田崎氏が話に割り込んできて「それ、西浦さんがおっしゃっていますよね」と、自らその専門家の名前を出したのだ。
驚いた岡田教授が「西浦さんですか? 北大のですか」と聞き返すと、田崎氏は「データ、先週の金曜日に出しましたでしょ? 彼の予測で」と自信満々に返した。