WHOのテドロス事務局長から安倍首相の礼賛引き出すため、WHOに170億円寄付
この首相が国民の健康や生命なんて守る気がさらさらなく、自分の支持率を維持することしか頭にないことがよくわかるだろう。実際、失態や批判を封じ込めるために安倍首相が情報操作をやっているのは、これだけでなく、山ほどある。
なかでもえげつないのは、WHOを“買収”して、国際的な批判を封じ込めていることだ。13日にWHOのテドロス事務局長が会見をおこなった際、日本の対応について、こんなことを言い出した。
「日本はまた、クラスターの綿密な調査に裏づけられた安倍首相自ら率いる政府全体のアプローチが、感染を抑えるための重要なステップであることを示しています。」
わざわざリーダーの名前まで挙げて対策を評価するというのは、極めて異例のこと。ご存じのとおり、日本のPCR検査の少なさには海外の専門家・メディアからも厳しい意見が噴出しており、批判こそあれ称賛されるようなものではけっしてない。むしろ他国から不信感を買っているというほうが正しい。
なのに、どうしてわざわざテドロス事務局長が安倍首相を名指しして称賛したのか。その疑問はすぐに解けた。テドロス事務局長はその後、WHOへの支援として、こうも述べたからだ。
「日本は今週、1億5500万ドル(約170億円)を寄付しました」
なんてことはない。WHOに寄付金を積んだからこそ、テドロス事務局長は安倍首相の名前まで挙げて称賛したのである。無論、この茶番劇には、外交筋からも「あまりにも露骨(なリップサービス)」という呆れた声があがっているのは言うまでもない。
その上、じつはテドロス事務局長は3月11日にもTwitterで日本から4600万ドル(約48億円)の寄付を受けたことも報告している。会見で言及した約170億円にこの約48億円が含まれているのかどうかはわからないが、別だとすれば、約218億円で安倍首相はWHOのお墨付きを買った、というわけだ。
しかも、日本がWHOを“買収”したのは、これがはじめてではない。厚労省は2月はじめ、マスコミに対し、これまで国内感染者のなかにクルーズ船の感染者数が含まれていたのを「上陸前だから日本国内の感染者とクルーズ船の感染者を区別しろ」と要求。そして、WHOにも働きかけていることを加藤勝信厚労相が会見で明かしていたが、実際2月6日からはWHOの日本の感染者数にクルーズ船感染者を含めず、同船の感染者は「Other」と表記されるようにさせた。このWHOが日本の感染者数の表記を変えた6日夜にも、テドロス事務局長は、こんなツイートをおこなっていた。
〈WHOが主導する新型コロナウイルス発生に対してタイムリーに気前よく1000万ドルを拠出してくれた日本に感謝。この資金は、医療制度の脆弱な国がウイルス拡散に備えるのをサポートしてくれるでしょう。より安全な世界のために、ともにがんばろう〉(訳は編集部による)
タイミングからして、日本がWHOに1000万ドルを出したことによって「表記を変えろ」と迫ったと疑われても仕方がないだろう。