総務省内に菅官房長官が牛耳る人事への不満が! 高市早苗総務相も菅には反発
にもかかわらず、鈴木康雄上級副社長は反省するどころか、NHKに敵意をむき出しに続けた。10月3日の野党合同ヒアリングに出席後、記者団に対して「まるで暴力団と一緒。殴っておいて、これ以上殴ってほしくないならやめたるわ、俺の言うことを聞けって。バカじゃねぇの」などと暴言を吐いている。
不正問題を暴いたNHKのスクープに対して、しかもその問題を日本郵政グループとして認めた後もなお「まるで暴力団と一緒」と言ってのける。いったいどちらが「暴力団」なのかと聞きたいが、この鈴木康雄上級副社長の信じがたい“強気”も、安倍官邸、とくに菅官房長官が後ろ盾だったからだ。
「かんぽ問題は安倍政権批判に繋がりかねないため、裏で官邸が報道を抑えこうもうと、鈴木副社長のNHKへの圧力を後押ししていたのは間違いない。しかも、上田会長が籾井(勝人)会長時代よりも政権批判報道への締め付けを緩くしていることに以前から不満を持っていた官邸は、この問題をきっかけに、経営委員会の石原委員長に働きかけて、上田会長の退任に動いた。石原委員長は籾井会長を推薦したことからもわかるように、安倍首相べったりの人物ですから」(NHK関係者)
実際、今月9日に、NHK経営委員会は、上田会長の来年1月での退任と、その後任に前田晃伸・元みずほフィナンシャルグループ会長を当てることを発表した。
経営委の石原委員長は会見で上田会長の退任理由について「ガバナンスの問題」を挙げ、「(ガバナンスの問題には)かんぽ問題も当然含まれる。私は大変な問題だったと思っている」と発言したが、毎日新聞(12月10日付)はこの人事について、「首相官邸は『上田会長は野党に気を使いすぎだし、政権批判の番組へのグリップが弱い』と不満を持っていた」ことを指摘した上、〈自民党幹部は「官邸主導の人事」と話し、「官邸がコントロールしやすい人材をおいたのだろう」と話す〉と報じている。
こうした日本郵政の問題の背景にある首相官邸と鈴木上級副社長の関係、そしてNHKへの圧力を首相官邸が後押ししていた問題などはこれまでほとんど黙殺されてきた。しかし、今回、現役総務次官から鈴木康雄上級副社長への情報リークが明るみになったことで、本格的に追及できる可能性が出てきた。
「総務省内には、人事を菅官房長官に牛耳られて郵政人脈ばかり重用されていることの不満がくすぶっている。今回の告発もこうした不満を抱いた総務省の官僚が動いたとの見方もあります。また、高市総務相も事務次官更迭の一番の目的は『自分の責任回避』とはいえ、菅官房長官と折り合いが悪く、裏ではかなり菅批判をしていると聞く。そう考えると、きちんと取材すれば、今後も総務省内からいろいろ情報がでてくる可能性はある」(前出・全国紙政治部記者)
メディアはこの機会を逃すことなく、首相官邸の日本郵政への情報漏洩問題への関与、そしてNHKの圧力についても徹底追及しなければならない。
(編集部)
最終更新:2019.12.23 02:09