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慰安婦の軍関与と強制性を示す公文書を内閣官房が保有していた! 共同の報道で明らかになった「青島総領事の報告書」

産経グループの総帥も陸軍時代に「調弁する女の耐久度とか消耗度まで決めた」と自慢

 しかも、慰安所を「ピー屋」と呼んでいた鹿内は同時に、女性たちを戦場の性の道具にした慰安所が、軍の計画に基づいて実行されていたという事実もあからさまに明かしているのだ。元日経連会長である桜田武氏との対談集『いま明かす戦後秘史』(サンケイ出版/絶版)で、陸軍時代の思い出話としてこんなふうに述べている。

〈鹿内 (前略)軍隊でなけりゃありえないことだろうけど、戦地に行きますとピー屋が……。
 桜田 そう、慰安所の開設。
 鹿内 そうなんです。そのときに調弁する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか、それからムシロをくぐってから出て来るまでの“持ち時間”が将校は何分、下士官は何分、兵は何分……といったことまで決めなければならない(笑)。料金にも等級をつける。こんなことを規定しているのが「ピー屋設置要綱」というんで、これも経理学校で教わった。〉

 これは陸軍が慰安婦の調達に関与し、戦地の慰安所での時間や料金などの取り決めを作り、そのノウハウを軍の経理学校で士官に叩き込んでいた、ということを意味しているわけだが、本サイトでも以前検証したように、この鹿内氏の証言は、当時の軍関連史料からも裏付けられている。

 たとえば1941年に陸軍主計団記事発行部が発行した『初級作戦給養百題』は、いわば経理将校のための教科書だが、そこには「慰安所ノ設置」が任務として掲載されている。また、防衛省の防衛研究所が所蔵する史料「常州駐屯間内務規定」(1938年3月16日、独立攻城重砲兵第二大隊が作成)では、中国現地の〈慰安所使用規定〉として部隊ごとに使用する曜日が決められていたほか、〈使用時間ハ一人一時間ヲ限度トス〉とあり〈支那人 一円○○銭〉〈半島人 一円五十銭〉〈内地人 二円○○銭〉とされている。軍が慰安所をつくり、中国・朝鮮や現地の女性を「慰安婦」にしていたのは客観的にも議論の余地がないのだ。

 6日に共同通信がスクープした内閣官房収集の外務省公文書は、「陸軍側は兵員70名に対し1名位の酌婦を要する意向」「軍用車に便乗南下したる特殊婦女」という公開されている部分だけをみても、以前から判明していた軍による関与・管理の事実を補強している。さらに「醜業を強いられ」という表現からは、慰安婦たちを強制的にそうした状況に追いやっていたということをほかならぬ当局が認識していたことがはっきりと読み取れる。

 朝日新聞の吉田清治証言に関する報道の取り消し後、慰安婦問題をめぐっては、「軍関与も強制性もなかった」「ただの売春婦だった」という虚論が大手を振ってまかり通っている。それは、安倍首相を中心とした極右勢力が朝日バッシングを奇貨として、一気に歴史修正の動きを勢いづけたことが最大の要因だが、それに対し、しっかりと反証してこなかったマスコミにも責任がある。

 新史料については近日中の全容公開が待たれるが、今回の共同通信のスクープのように、メディア側が率先して情報を出したり、史料や証言を発掘していかねば、政府はいくらでも“不都合な真実”を隠蔽していくだろう。こと安倍政権下では、歴史問題においても報道機関の矜持が試されているのだ。

最終更新:2019.12.08 02:19

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