ジャパンライフ以外に、「桜を見る会」に招待された特定商取引法違反のマルチまがい企業
しかし、こうした反社会的勢力を招待していた疑惑もさることながら、「桜を見る会」の招待者問題では反社会的勢力よりももっとヤバい、深刻な事実がある。それは、「桜を見る会」が悪徳商法の客集めに利用されていた、という問題だ。
25日の参院行政監視委員会で共産党・田村智子議員が追及したように、「桜を見る会」をめぐっては、2015年4月の同会にジャパンライフの創業者で当時会長だった山口隆祥氏が招待されていた。しかも、ここにきて山口会長を招待したのは「総理・昭恵枠」ではないかという疑いが出てきたのだ。
本サイトでは繰り返し言及してきたが、そもそもジャパンライフは磁気ネックレスの預託商法などを展開、悪徳マルチ商法として社会問題になってきた会社であり、1985年には国会で「ジャパンライフ問題」として集中審議がおこなわれたことがあるほどだ。
そして、2017年にジャパンライフは2000億円を超える負債を抱えて経営破綻。同社の被害弁護団連絡会によれば契約者は約7000人にもおよび、今年4月には債務超過の状態にあることを隠して顧客を勧誘した疑いがあるとして、警視庁など6都県警の合同捜査本部が特定商取引法違反(事実の不告知)容疑で山口元会長の自宅や関係先などを家宅捜索している。
こうして約7000人もの被害者を生み出した要因として、本サイトが以前から指摘してきたのが、ジャパンライフと安倍政権の結びつきだ。実際、加藤勝信厚労相や二階俊博自民党幹事長は宣伝チラシに登場し広告塔を務めていたことが判明しているが、その極めつきが「桜を見る会」だった。
というのも、2014年9月にジャパンライフは消費者庁から文書で行政指導を受けていたにもかかわらず、2015年4月におこなわれた「桜を見る会」に山口会長本人が招待されていたのだ。しかも、ジャパンライフは招待状と安倍首相の顔写真を宣伝チラシに載せ大々的にアピール、勧誘や説明会で「招待状」を顧客に見せ、その関係を利用していたのである。
ジャパンライフの被害者の多くは高齢者であり、お年寄りにしてみれば会長が安倍首相から功労者として「桜を見る会」に招待されたという事実は、ジャパンライフに信頼を寄せる重要な材料になったことは疑いようもない。つまり、安倍首相は悪徳商法の客集めの片棒担ぎをしたのだ。
だが、このように「桜を見る会」に参加していた問題企業関係者は、ジャパンライフだけではない。
いま、SNS上でひそかに注目を集めている複数の写真がある。そこには、「桜を見る会」で菅官房長官や片山さつき・前地方創生担当相らとツーショット写真を撮り、さらには「前夜祭」と思われる会場で安倍首相や昭恵氏と仲良く写真におさまっている、ある男性の姿がある。
この男性は、48(よつば)ホールディングスの代表取締役会長(今年5月時点)である淡路明人氏という人物。そして、この48ホールディングスは、2017年8月に消費者庁が立入検査を、その直前には金融庁も調査を実施、同年10月には販売していた独自の仮想通貨「クローバーコイン」をめぐり「購入すれば1カ月半後には10 倍に値上がりする」「3カ月で128倍の価値になる」などと謳って連鎖販売取引(マルチ商法)をおこなったことが特定商取引法違反(不実告知など)にあたるとして、消費者庁から3カ月の一部取引停止が命じられているのだ。ちなみに、日刊ゲンダイ(2017年12月29日付)によれば、この48ホールディングスの代表取締役社長を一時期務めていた渡部道也氏は、2016年当時、ジャパンライフの取締役香港支社長として会社案内で紹介されていたという。
ともかく、ジャパンライフ以外にも、違法行為がおこなわれていた企業のトップが「桜を見る会」に招待されていた──。さらに重要な点は、淡路氏が「前夜祭」にも参加していたと見られることを考えれば、安倍首相、あるいは昭恵氏の招待者であった可能性が高いことだ。実際、淡路氏は2016年11月におこなわれたあるパーティでも昭恵氏とツーショットで撮影し、その写真がネット上でも話題になってきた。