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しんゆり映画祭で慰安婦を扱う『主戦場』が上映中止になった理由! 極右論客の訴訟、川崎市が伝えた懸念、あいトリ事件の影響も

しんゆり映画祭事務局に直撃! あいトリの事件は本当に関係がなかったのか?

 実行委員会が右派からの脅迫やテロ予告を受け、愛知県なども批判にさらされた「あいトリ」の事件は、少しも念頭になかったのか。本当に、訴訟だけが中止の理由だったのだろうか。そして、川崎市は「上映中止は主催者の判断」として「介入ではない」と主張するが、当の映画祭側はどのように受け取ったのか。

「しんゆり映画祭」事務局に話をきくと、たしかに7月下旬に川崎市市民文化振興室に『主戦場』が出演者から提訴された件を報告、相談したという。そして8月5日、市から「懸念」を伝えられた。上映の申し込みを白紙に戻した経緯については「私たちの判断が急ぎすぎたという部分もあったと言いますか、相談をさせていただいている相手(市)に対して、『どうなりましたか』というところを確認せず、上映申し込みに舵を切った部分がありました。そこで再度、検討するため、とめておいてくださいとお伝えしました」と語る。

 その後、5人からなる映画祭の運営委員が、スタッフらの様々な意見を聞きつつ、最終的に「中止はやむを得ない」との決定を下したという。だが、9月に配給会社へ送付した正式な上映中止を伝達する書面には、具体的な理由が書かれていなかった。取材に応じた事務局担当者の話からは、「共催者である川崎市の懸念」が中止判断に影響を与えていたことがわかる。

「パートナーである川崎市から懸念というかたちで、『本当にやっても大丈夫なんですか?』と伝えられたことで、より、自分たちが主催者として、いったいどこまで責任がとれるのかということを考え、運営委員会で検討を重ね、そこから派生して、最悪の事態をより深く考えることになりました」(「しんゆり映画祭」事務局担当者)

 映画祭の費用1300万円のうち、川崎市が600万円を負担していることが念頭にあったかと尋ねると、「市民の映画祭ですので、その600万円がなくなったとしても、なんとかやっていきたいという思いはあります。ただ、とても大きな金額ですので、そのことを少しも考えなかったとは言い切れないないかもしれません」と話した。

 また、あいちトリエンナーレの事件の余波について、映画祭事務局は「上映中止の決定的な要因とはならなかった」と説明するが、川崎市の懸念を受けて想定した「最悪の事態」のひとつとしては考えていたという。

「やはり(あいちトリエンナーレとは)規模も違いますので、私たちの上映中止の判断につきましては、それほど参考にはしておりませんでしたが、私たちの考える『最悪の事態』に対しては、安全対策を講じきれないというところがありました。最悪の事態の一部分として、あいちトリエンナーレで話が出てたような『ガソリン缶をもっていくぞ』(というテロ予告)とか、ハロウィンのパレードが映画祭の日程に重なることもありますし、登戸の(通り魔)事件も川崎市でありました。そのようなことが起きたらどうするのか。(『主戦場』が)訴訟を抱えているということは、それだけ悪意を持っている人が来てしまう可能性を高めることになってしまうと思うのですが、より過激な思想を持っている人が来てしまった場合に、私たちはどれだけ対応ができるのだろうか、と。そうした社会情勢のなかで起きている事件、事故などをも含めて、上映中止の判断をさせていただいた次第です」(「しんゆり映画際」事務局担当者)

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