10月25日放送の『ひるおび!』で安倍政権とマスコミの本質をついた与良正男・毎日新聞専門編集委員
「週刊文春」(文藝春秋)の連続スクープで昨日25日、菅原一秀経産相が辞任を表明した。当然だろう。先週、先々週と報じられていた過去の買収疑惑でも十分辞任に値したが、24日発売の「週刊文春」第三弾記事では、それに加え、練馬区でおこなわれた支援者の通夜会場で菅原経産相の秘書が香典袋を手渡した瞬間を“激写”されるという、公職選挙法違反の決定的証拠を突きつけられてしまったからだ。
まさに世間を舐めきっているとしか思えないが、それは安倍首相も同様だ。菅原氏の辞任発表に対し安倍首相は「任命責任は私にあり、こうした事態になってしまったことを国民に深くおわび申し上げます」と“任命責任”に言及したが、しかし実際には安倍首相は任命責任など取るつもりはさらさらない。これまでの数々の不正・不祥事と同様、このままなんの説明もしないまま、幕引きしたって、「世間はすぐに忘れる、政権にとって大した問題にならない」とたかをくくっているはずだ。
ところが、安倍首相のこうした国民を舐めきった姿勢を、意外なことに、安倍応援団番組の『ひるおび!』(TBS)が25日の放送で批判した。
この日の『ひるおび!』には、安倍内閣に閣僚スキャンダルが起きたときは必ず出演して政権を擁護する御用ジャーナリスト・田崎史郎氏が出ておらず、政治アナリストの伊藤惇夫氏と毎日新聞専門編集委員の与良正男氏が出演していた。菅原経産相の辞任とスキャンダルを取り上げたなかで、説明責任はどうなるのかということに話が及ぶと、与良氏がこう指摘したのだ。
「おそらく今後も詳しい説明はしない、まあ、野党は求めていますけども、しない可能性はある。でもこの人から始まった話ではないんですよね。毎回、国会に影響を及ぼしたから、混乱を避けるために、私は辞めるっていって、その後、説明しない人がほとんどですよ」
ここで司会の恵俊彰が「へーーっ」と驚くのだが、与良氏は“何をすっとぼけてるのか”とでも言いたげに「へーって、毎回そうですよ」と一蹴。さらに、伊藤氏との間でこんなやり取りを繰り広げた
伊藤「それで安倍首相は『任命責任は私にあります』と言って、どういう責任をとるんですかっていうのは、ないんですね」
与良「この7年間、(閣僚の辞任は)何回目ですかね」
伊藤「9回めですね。9人辞任してますね。この政権になってからね」
与良「その責任は私にあります、申し訳ありませんでしたっていうのが、その後なんかにつながっているかって、感じはしませんよね」
たしかに、第二次安倍政権下では松島みどり法相、小渕優子経産相、西川公也農水相、甘利明経済再生担当相、今村雅弘復興相、稲田朋美防衛相、桜田義孝五輪相、江崎鉄磨沖縄北方担当相、そして今回の菅原経産相と、公選法違反やカネの疑惑、失言などで大臣を辞任してきたが(江崎氏は健康問題)、安倍首相が何らかの責任をとったことなど一度たりともなかった。2人はその事実をはっきり指摘したのだ。