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台風被害のさなかに「天皇の即位礼」を大々的に開催する必要はあったのか? 式典関連予算は平成よりはるかに多い160億円

「即位礼正殿の儀」は政教分離に反する上、皇室古来の伝統ではない

 そもそも「即位礼正殿の儀」は、単に皇位継承を宣言するだけの行事ではない。古事記にいう「三種の神器」である天叢雲剣(レプリカ)と八尺瓊勾玉が並べられるなど、宗教色の強い儀式だ。とりわけ、天皇は「高御座」という高さ6.5メートルほどの専用の玉座にあがるが、これは天孫降臨の神話の再現ともいわれている。そして、この高御座にあがった天皇に対して、首相が「天皇陛下、万歳」と号令をかけ、自衛隊の空砲とともに万歳三唱が行われるのだ。同じ正殿内とはいっても、つまり、首相が天皇を仰ぐかたちとなる。これは憲法の国民主権と政教分離に反するのではないか。

 しかも、これら代替わりの儀式は、明治時代に制定された登極令に基づいて行われている。天皇の装束などもこの明治期に変化し、即位礼正殿の儀で天皇と皇后が並ぶかたちになったのも、西洋の王室儀礼を参考にして変更したとされる。つまり、現在の即位正殿の儀の形式は明治政府が確立したものであり、戦後に登極令が廃止されても、大筋、いまだその前例のままにされている。その意味では、たかが100年あまりの「伝統」でしかないのだ。

 平成への代替わりの際には、高御座や剣璽の使用、登極令に基づいていることなどについて違憲論争などがマスコミも含めて盛り上がった。ところが、今回の令和への代替わりでは、まったくと言っていいほどこうした議論が見られない。さらに言えば、即位礼正殿の儀もまた、完全な宗教儀式(秘儀)である大嘗祭へ連なる儀式だ。政権は国事行為にすることで宗教色を隠しているが、戦前の国家神道のベースとなった神話を踏襲していることには変わりない。

 いずれにしても、台風の被害が拡大するなかでも祝賀パレードを強行しようとした安倍政権が、即位関連儀式を小規模にするなどの考慮をまったくしなかった。各国の元首や首脳クラスを招いて、新天皇が即位を国外に広く知らしめる即位礼正殿の儀や饗宴の儀は、安倍首相にとっても、自分の権勢をアピールする格好の舞台だ。結局、この宰相は災害にあった国民のことなどどうでもいいらしく、いかに天皇を利用するかだけを考えているのだ。こんな私物化、国民軽視の政治を許していいはずがない。

最終更新:2019.10.23 11:49

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