電力会社が利用したのは同和だけじゃない!暴力団や総理大臣にも原発マネーが
もっとも、電力会社が土地の確保や原発反対運動封じ込めのために“利用”したのは、なにも同和団体だけではない。暴力団や悪徳ブローカーなど、使えるものすべてを取り込んで、原発の建設・稼働や地域の“地ならし”に投入してきた。
たとえば、同じ関西電力ら電力3社は90年代、石川県に「珠洲原子力発電所」を建設する計画を進めていたが、このときも関電が秘密裏にゼネコン各社を通じて原発予定地周辺の土地を裏取引で取得。その土地買収に協力した見返りとして、暴力団が関電とゼネコンに約30億円を要求していたことが発覚している(しんぶん赤旗2011年9月13日)。なお、この珠洲原発計画は石川出身である森喜朗元首相の“肝いり”だったとされるが、その森氏の資金管理団体が、原発用地取得に関わったゼネコンや建設会社らから献金を受けていたこともわかっている。
あらためて言うが、電力会社は“原発マネー”を使って、時の政権との癒着を繰り返してきた。3.11以降、その一部が具体的に表沙汰になっている。たとえば、芦原義重・元関西電力会長の秘書として長年仕えた内藤千百里氏(関電元副社長)は、数年前、朝日新聞の取材に対して、時の総理大臣に巨額の“裏金”を渡していたことを告発している。
「芦原さんが角さん〔=田中角栄〕の事務所で1千万円を渡すと、角さんは『おーい。いただいたよ』と昭さん〔=角栄の秘書〕に伝える。昭さんは『そうですかー』と受け取りにくる。1千万円は紙袋や風呂敷で持っていく。〔中略〕。芦原さんが直接、総理や党の実力者に渡す資金がありますねん。会社のトップクラスのみが知っている。総理には盆暮れに各1千万円ずつ計2千万円。総理を辞めた後にも同額を渡した人はいた」
「官房長官、自民党幹事長、政調会長ら実力者と野党幹部には1回200万〜700万円。年間総額は数億円になると思う。私が政治家の実績を伝えると、芦原さんが金額をパッと決めた。芦原さんと一緒に運んだのは年間14、15人はおるでしょうな。他の役員が運んだ分もあった」
「盆暮れに現金を渡した総理大臣は、角さん、三木〔武夫〕、福田〔赳夫〕、大平〔正芳〕、鈴木〔善幸〕、中曽根〔康弘〕、竹さん〔=竹下登〕まで。選挙のあるなしは関係なく、1回1千万円で年2回」(朝日新聞特別報道部『原発利権を追う』朝日新聞出版)