藤井聡が「消費増税で12%賃金が下がる 戦後、こんな総理大臣はいない」
“安倍首相が主犯”という問題については直接言明しなかった藤井教授だったが、この「老後2000万円報告書」をお蔵入りにし、国民に不安が広がってしまったことがいかに経済に打撃を与えるかについては、鋭くその責任を追及した。
「これが、ものすごくいまの日本の経済を疲弊させるんですよ。なぜかというと、これからね、国民は不安になります。どうするかというと、たとえば給料30万円もらいました。いつも20万円使ってました。でも心配やから15万円にします。そうしたらその方の貯金は増えるかもしれないけれど、その方が使っている5万円が市場に回らなくなるんですよ。これ、1億人が5万円使わなくなったら、すさまじく経済、疲弊するんですよ」
「だからこれは“2000万円デフレ”を引き起こすんですよ。しかもこれで消費税、増税するんでしょ? 日本ぐちゃぐちゃになりますよ」
「みんなが貧乏になったら所得が減るから所得税も減って、政府の収入も減るんですよ。政府の収入が減ったらどうなるかと言うと、19万円の年金すら18万、17万円になるんですよ。これ、とんでもない悪影響をもたらします」
「(報告書をお蔵入りにしたことで)政府に対する信頼がなくなっただけじゃなくて、将来に対する信頼もなくなった。97年の消費増税以前ってインフレ、ようするに経済が成長していたんですよ。経済が成長しているときというのは、20歳の子とかは『30歳になったらこれくらいの給料やな』と。30歳の人は『40歳やったらこれくらいの給料になる』と。だから30代とかで家を買ってローンを組んで借金を返すとかできたわけですよ。だけど、いま景気がすごく悪い、で、将来2000万円足りないかもしれん、そうしたらいまどうしたらいいねんってことで、将来に対して不安だらけで、お金使わなくて、なけなしのお金を貯金して、自分は百均に行くと。極貧生活になって、みんな百均に行くからお金が回らないからもっと貧乏になる。で、政府に10%の消費税をぶっこ抜かれていくわけですよ。これはね、日本経済の地獄ですよ、これから」
今後、日本経済は地獄になる──。さらに藤井教授はこうつづけた。
「資産を形成しないと、我々未来がないわけですよ。で、資産を形成するにはどうすればいいかというと、我々の月々の給料が上がることが必要なわけですよ。にもかかわらず、我々の給料は消費増税によって低減させられているんですよ。安倍内閣下でね、消費増税を3%にしたときに、サラリーマン給与って3%下がったんです。で、それからさらに3%下がって、今度の2%の増税によってさらに2%下がるんです。で、それを長期的にみると、1割から1割2分くらいの賃金が下がります」
そして、藤井教授は強い口調で、このように断言したのだ。
「戦後の総理大臣で、12%も賃金を下げた総理はいない! これは由々しき事態だと国民のみなさんに知っていただきたい。消費増税が原因です、これは」
予定どおりに消費増税を実施すると安倍首相が公表してから、ワイドショーでここまではっきりとした消費増税批判、さらには安倍首相の責任が言及されたことがあっただろうか。しかも、今回の番組の特集テーマは「老後2000万円報告書」問題だったが、これは結局のところ安倍政権の経済政策につながる問題なのだと藤井教授は指摘したのである。
不都合な事実はなかったことにして、国民の不安や不満、さらには批判を封じ込め、玉川氏が言ったように国民を舐めきって「いろんな問題があったけれども、支持率高いじゃねえか」「なかったことにしても別に国民は怒んねえよ」と高を括ってきた安倍政権。その結果、来週にはついに消費増税が実施される。「不都合な真実はないことにする」安倍首相の一貫した姿勢が、ついに「地獄」に向けて動き出す──。この現実の切迫感を、一体どれほどの国民が認識しているだろうか。
(編集部)
最終更新:2019.09.28 08:39