飯島マネを追放しジュリー独裁支配を構築するも、社員やタレントからは不安と不満が
関ジャニにしても嵐にしても、そのロールモデルがSMAPにあることは論を俟たない。グループ活動だけではなく、メンバーそれぞれがドラマ、バラエティ、司会者など幅広く活躍し、その人気をグループ人気にフィードバックさせてゆく──そのスタイルを最初につくり上げたのは、SMAPのマネージャーだった飯島三智氏である。光GENJI以降、アイドル冬の時代を迎え、ジャニー喜多川社長もメリー喜多川副社長も旧来のアイドルの売り出ししかできず、何の打開策をなく沈没しかけていたなか、飯島氏がジャニーズの常識を破り、SMAPをとおして新しいアイドルグループのかたちを生み出した。飯島氏がいなければ、ジャニーズは“ジャニーズ帝国”と呼ばれる今日のような一大勢力に伸張することもなかったし、メディアを支配するような権力をもつこともできなかったはずだ。
つまり、メリー氏の娘でジャニーズ事務所の後継者である藤島ジュリー景子副社長は、SMAPのノウハウを嵐やTOKIO、関ジャニといった後継グループでそのまま使ったに過ぎず、おそらくSMAPという前例がなければ何もできなかったのである。
現に、ジャニー氏はジュリー氏の手腕に疑問を持っており、むしろ飯島氏を評価し、自分のかわいがっているグループを飯島氏に預けるようになった。しかし、これがメリー氏とジュリー氏に怒りを買い、結果、SMAP解散独立の引き金となり、飯島氏はジャニーズ事務所を追放されてしまった。
“中興の祖”と呼ぶべき飯島氏の功績を一切認めず、その上、SMAPという国民的グループを解散にまで追い込んで、ジャニーズ事務所における権力を掌握したジュリー氏。しかし、本サイトでは何度も言及してきたように、以前から、そして実権を握ってからも、ジュリー氏は、所属タレントや事務所スタッフ、芸能マスコミからその手腕を不安視されてきた。
「ジュリーさんはクリエイティビティもないし、金儲け主義で、タレントを育てようという意識が薄い」(テレビ関係者)
「ジュリー氏はメディアだけじゃなくて、社内のスタッフ、タレントの間でも評判がよくない。アイデアも人望もなくて、金勘定のことばかり、と。『ジュリーさんじゃ、会社がもたない』とはっきり言うスタッフもいる。タレントもどんどん離れて抑さえが効かなくなり、それこそ、バーニングやケイダッシュの草刈り場になってしまうんじゃないか」(ジャニーズ事務所関係者)
実際、ジュリー体制が進めば進むほど、ジャニーズ事務所はかつての力を失い、内部的なほころびも目立つようになった。たとえば、不祥事。TOKIO山口達也の未成年への強制わいせつ事件にNEWS小山慶一郎と加藤シゲアキ、手越祐也の未成年飲酒などの事件が相次いだが、その対応もお粗末きわまりないものだった。とくに山口の事件では、いつもの強権的なマスコミ対応で通じると思ったのか、稚拙な対応で傷口を広げ、山口を契約解除せざるを得ない状況に追い込まれ、TOKIOのグループとしての仕事も破綻しかけている。
こうしたジュリー体制のなかで、SMAP以外にもメンバーの脱退やグループの解散、活動休止が相次いだ。ジャニー氏や中居正広に近かったタッキー&翼の解散や今井翼の退所、滝沢秀明の引退・プロデューサー転身は明らかにジャニー社長とジュリー氏の対立の影響によるところが大きいのはもちろん、ジュリー派の関ジャニから渋谷が脱退、ジュリー氏の唯一・最大の成功体験である嵐までもが、大野智の脱退話に端を発し、2020年末で活動休止することになった。大野はジャニーズも退所する見通しで、これは事実上の解散だ。
そして、今回の錦戸の関ジャニ脱退・ジャニーズ退所……。ようするに、SMAPの解散・飯島氏の追放によってジュリー体制を鉄壁にしたつもりが、プロデュース能力、マネジメント能力が一気に低下して組織がガタガタになり、さらに最後の求心力の源だったジャニー氏の死去によって、ジャニーズは完全に将来への展望を失ってしまったのだ。