菅長官の懐刀・三浦博史氏の弟子・松田馨氏が大野陣営に加わり師弟対決に勝利
青島候補を応援する菅官房長官(撮影・横田一)
日本の選挙プランナーの草分け的存在で、『洗脳選挙――選んだつもりが、選ばされていた!』の著者である三浦氏の得意技は、安倍政権の常套手段である争点隠し選挙だ。「北海道知事選(4月7日投開票)」でも現地に張り付き、官邸主導で与党系候補となった“菅(官房長官)チルドレン”こと鈴木直道知事の当選に貢献。若手イケメン芸人風の鈴木氏は国策に関わる三大争点(カジノ誘致・泊原発再稼働・JR赤字路線問題)に触れない争点隠し選挙を忠実に実践、夜間大学卒の苦労人で年収250万円の貧乏生活で夕張財政再建に尽力した若手市長のイメージを打ち出し、菅氏直系の“官邸傀儡候補”の実態を隠す「洗脳選挙」で、三大争点について語った石川知裕元衆院議員を打ち破ったのだ。
そんな三浦氏を埼玉県知事選の取材で連日目撃したので、「自公推薦候補勝利の可能性大」と筆者も思ったが、この予測は見事に外れた。大野陣営にとって大きかったのは、三浦氏の弟子にあたる選挙プランナー・松田馨氏が加わったことだった。大野氏支援の鈴木正人県議はこう振返る。
「『政治経験がなくても知名度抜群の青島氏を担げば勝利確実』と安易に考えた自民党の驕りが、大野氏の『奇跡の大逆転勝利』につながった。最近は自民系候補ばかり応援している三浦氏に対抗すべく、都議選圧勝の実績のある若手選挙プランナーの松田氏が参院選後に加わって雰囲気が一変、諦めムードが一掃されたことも大きかった」
つまり、今回の埼玉知事選は三浦氏と松田氏の選挙プランナー師弟対決でもあったのだ。そして、結果は、弟子の松田氏が師匠の三浦氏を制した。
ちなみに2012年夏の山口県知事選でも三浦氏と松田氏は師弟対決。この時は、自公推薦の元国交官僚の山本繁太郎・前知事が中国電力「上関原発」建設をめぐる政策を丸飲みする争点隠し選挙で、建設反対や再生可能エネルギー拡大を訴えた「環境エネルギー政策研究所」所長の飯田哲也所長を破り、師匠の三浦氏に軍配が上がったが、7年後の埼玉県知事選では弟子の松田氏がリベンジに成功したのだ。